1/17/2025, 1:15:10 PM
お題
風のいたずら
1/16/2025, 5:39:22 AM
お題
あなたのもとへ
1/14/2025, 6:01:19 AM
お題
まだ見ぬ景色
1/12/2025, 10:13:41 AM
お題
あの夢の続きを
1/11/2025, 2:19:37 PM
あたたかいね
子どもの頃から冷え性だった私は冬になると決まって足の小指にしもやけを作っていた。
今みたく可愛いモコモコの靴下や靴用ホッカイロなんてものはなかったし、せいぜい寝る時に電気アンカが使えるくらいのものだった。
でも、しもやけが出来てしまうほどの冷え切った足に、ぼんやりしたアンカの熱など何の役にも立ちはしない。
そんな時、私は父の布団に潜り込むことにしていた。
仕事から帰ってきた父は軽く晩酌をしたあと、夜九時半には布団に入って寝てしまう人だった。
小学生の私よりも早寝だったのだ。
テレビではジャイアンツとドリフターズが活躍していた昭和の頃の話だ。
私は父の布団をそおっと捲り、氷のように冷え切った自分の足を父のふくらはぎにペタッと当てる。
ひいっ!といつもの短い悲鳴のあと、父は怒りもせずに私の足を温め続けてくれた。
時代は変わり令和。
リビングでは犬が抱っこしてと甘えてくる。
私は抱き上げた犬の足の余りの冷たさに驚き、慌てて毛布で包んだ。
「あたたかいね。」
優しく背中を擦り、頭を撫で、顎先を入念に搔いてやる。
手を止めると同時にもっと撫でてと犬が鼻先を突き上げてくる。
私は再び犬の背中を撫で始める。
ぼんやりと父のことを考えながら過ごす穏やかな冬の午後。
私は犬の足に手をやってみた。
先ほどの冷たさはもうすっかり消えていた。
お題
あたたかいね