『ずっと隣で』
僕、煌驥には好きな人が居る。
そして、その子は今、俺の隣に居る。最高だ。
1年ほど前に告白して付き合ってから、ずっと一緒だ。
そして僕は今その彼女とリビングのソファでテレビを見ている。
『なんか今日はいい番組やって無いね〜。まあ夕方だからかな。』
そう言葉を零す。夕方にもニュースだけでは無くもう少し面白い番組が欲しい。
テレビを消し、キッチンに行ってコーヒーを淹れようとする。
『コーヒー飲む〜?! 今入れるけど〜!』
そうリビングのソファに居る彼女に問いかけるが、反応は無い。
その子は付き合う前から無口な子であり、男嫌いでもあった。だから付き合った後も無視されたりはしていたが僕からすると悲しい。
『ねぇ、流石に少しくらい反応してくれても良く無いかな〜?!』
と言っても、変わらず返答は来ない。
と、そこで俺はある事を思い出した。
『ごめんごめん、忘れてたよ! もう喋れないんだったね! 『一年前みたいに』無口なツンデレさんなだけかと思ってたよ! あっはははは!』
そう言って1人で笑い、コーヒーを淹れて先程まで座っていたソファに座り、コーヒーを目の前の机に置いてから彼女を膝の上に乗せる。
『どうだい、僕との生活は? 中々に快適でしょ? 君がここに来なければ、この先君を苦しめる出来事が沢山あると思う。それを無くしてあげたんだから、褒めて欲しいな。頭でも撫でてよ。』
そう言って膝の上にいる彼女を見る。
そして『もう一つの彼女』が寝室のベッドの上にある事を思い出した。
『あ、やばい! 手が無いんだったね! 忘れっぽくてごめんね? 今持ってくるから!』
そう言って、僕は寝室のベッドにある『彼女』を撮りに行った。
ずっと一緒だよ? ずっと隣に居てね?
『もっと知りたい』
もっと知りたい。
何をと言われれば、こう答えるだろう。
『全て』を。
歴史、地理、経済、文化、食、服、知りたいものは沢山ある。
人間には
『あれは確かこうだったっけ?』
と言う様な知識もあったりするだろう。
私はそれが嫌だ。全てを知りたい。
誰よりも、知識が欲しい。
それが私の生きる意味だ。
『平穏な日常』
俺は今、幸せだ。
愛する家族が居て、凄く気が合う良い親友が居て、最近知り合ったが美人な彼女も居て。
本当に幸せだ。夢のようだろう? 夢なら覚めないで欲しい。
『雄也〜! 起きなさーい! 朝よー!』
俺は高校生なので面倒だと思いつつも学校に行く用意をする。
そしてブレザーを取りに2階の自室から一階へ降りる。
その時
『雄也〜学校行こ〜』
俺の彼女が家まで迎えに来てくれた。最高か?
準備を整えて彼女と共に学校へ行く。
A教室に着き、彼女は別のクラスなのでそこで別れる。
『おいおい、また彼女と登校か? ラブラブだねぇ』
教室に入ると、俺の1番の親友が話しかけて来た。
『あんまり揶揄うなよ。恥ずかしいだろ?』
そんな返事をしつつ、チャイムが鳴ったので席に座り、放課後になるまでしっかりと授業を受け、彼女と共に家に帰る。
ああ、最高過ぎる。これが『俺の理想の人生』だ。
そう思った瞬間、急に景色が変わり、いつもの自室の天井が見えた。
またこの夢か。『俺の理想の人生』の夢。
覚めてしまったのなら、早く会社へ行く準備をしなければ。
『僕』に親友も彼女も、家族も居ない。
コミュ障な僕に友達も、彼女も出来る訳無い。
そして両親を事故で亡くし、その現実に耐えきれず、その日の夜からこの夢を見るようになった。
理想までは求めない。ただ、平穏な日常を過ごさせて欲しい。
まあ、そう願ってももう遅いのだが。
『愛と平和』
君は愛と平和と言われて何を思いつく?
僕は『愛とガッツと根性で!世界に蔓延る悪を討つ!』を思いつく。
……今『うわ、懐かしー!』となったそこの君。やるやん(?)
まあそれは置いといて。
僕は愛と平和と聞いて思いつくのは『幸せな結婚』だね。
アニメじゃないよ。そのままの意味だよ。
まあ幸せな結婚を実現するのは難しいかもだけどね?
愛し、愛され、喧嘩などはあるかもだけどちゃんと仲直りをし、残りの人生を幸せに過ごす。
中々良いとは思わないかい?
勿論これは理想さ。でも理想を創るのが人間だろう?
君たちも考えて見てくれ。きっと楽しくなるだろう。待っているよ。
『過ぎ去った日々』
今日、俺達は高校を卒業する。
この3年間は色々あった。
体育祭、文化祭、休みの日に友達とどこかに出かけたり、放課後にファミレスなどで雑談をしたり。
でも、そんな日々も、今日で終わりを告げる。
4月から俺も、友達も、一度も話した事の無いクラスメートも、それぞれの未来に向かって歩む。
『よ! 卒業式になんで校舎裏で黄昏てんだよww』
『少し、遡ってただけだ。過ぎ去った日々を』
『なんか重くねぇか? 空気が凄いぞ?』
『気にするな。すぐ戻る。2つの意味でな』
『そうか。この後打ち上げだからみんなが出発する前にはちゃんと戻ってこいよ?』
『ああ、行けたら行く』
『お前がそう言って外せない用とか無い時は来なかった事無いの意味わかんねぇよな。まあ良い事だけどさ』
そう言って俺の3年間の友達は他のやつらの元へ戻って行った。
過去へは戻れない。俺にはそんな能力は無いから。
なら、未来へ目を向けよう。
今日が終わり、みんな解散し、それぞれの道を歩み、でもまた会えたら。
その時は、酒でも飲みながらゆっくりと遡ろうじゃ無いか、過ぎ去った大切な思い出を。