太陽が輝いている。とても良い天気だ。
いつも家に篭っているのでたまには散歩に出ようと思ったが間違いじゃ無かったらしい。
見慣れた景色を横目に街を歩いていく。
散歩の途中、喉が渇いたので公園に寄り缶ジュースを買う。
タブに指をかけ、ジュースの蓋を開けて飲む。
その時、下に蟻が見えた。
1匹1匹が綺麗に並び、『今日』を必死に生きている。
その小さな命を使って。
銃の発砲音が近くで何度も響く。
もう何人この手で殺したか分からない。
もうこんなことやめたい、と思っていても出来ない。縛りは私を強く呪い、蝕む。
昨日まで夢や、ずっと心に秘めて来た願いを語り合った友も、胸と頭を撃たれた。即死だろう。
何故、このような事を続ける。何故、このようなことを繰り返す。
分かっている。いくら終焉を願っても、届かない事なんて。
『死ねぇぇぇ!』
その時、後ろから殺気を感じ、地を蹴り、攻撃を避ける。
『なっ』
すぐに体勢を立て直し、襲撃者の足を撃ち、機動力を奪う。そして、銃口を頭に付け、引き金に指をかける。
『待ってくれ! 死にたく無いんだ! 助けてくれ!』
『お前らが始めたんだ。この地獄を』
次の瞬間、バンッ! と言う銃声が鳴り響き、辺りに血が流れていく。
もう、何も感じない。最初に人を撃った時の感触も、悲しみも、そして、込み上げてくる吐き気も無い。
人を殺すのに慣れた。いや、慣れてしまった。
いつ終わるんだろう、この無意味な戦争は。
人を殺す為に銃を撃つのを、誰も求めていないのに。
『早く、終わってくれ……』
そう呟いた時、軍から渡された無線から声が聞こえた。
『次だ。願うより行動をしろ。足を動かせ。』
『……はい』
また、歩き出す。人を撃つ為に。
また、銃を構える。いつか、太陽が燦々と照り、その下で人々が笑っている未来を掴む為に。
0からの思い出
俺、圭也には幼稚園、小、中学校の時に良い思い出が無い。
父は俺達を置いていって何処かへ行き、母は父の代わりに働いてくれた。
ずっと一緒だと思っていた。このまま3人で暮らし、高校生や大学生になったら1人暮らしを始めたりする。両親は少し悲しみながらも送り出してくれて、いつでも帰って来なみたいな事も言ってくれて。
そんな日々が待っているんだと思っていた。
でも小学5年生のある日、父が急にいなくなった。
幼い俺は理解が出来ず、寝るまで母に
『ねえ、パパはいつ帰ってくるの?』
と聞いていた。
あの時の母の
『いずれ帰ってくるわ。さ、圭也は寝ましょう』
と言う言葉が、その時の寂しそうな、申し訳無さそうな顔が忘れられない。
幼かった俺は母がそう言うならいつか近々帰ってくるだろうと思い寝たが、今は分かる。
あの時母は、どんな気持ちであんな事を言ったのだろう。
自分を言い聞かせる為にそう言ったのか、はたまた別の意味が込められていたのか。
あの時以来、ずっと考えているが高校生の入学式当日の今でも答えは出ない。
高校生も母の事を手伝ったりバイトをしたりして良い思い出が無いまま卒業するんだと思っていた。
だが、その考えは間違っていた。
入学式が終わり、教室に行き自分の席に座ると隣から声がした。
『あなたが隣の席の人なの?』
俺が声のする方に振り向くと、そこには美少女いた。
それが俺と隣の美少女、桜との出会いだった、そして俺の思い出が0から増えていく。