KINO

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 銃の発砲音が近くで何度も響く。
 
 もう何人この手で殺したか分からない。
 
 もうこんなことやめたい、と思っていても出来ない。縛りは私を強く呪い、蝕む。

 昨日まで夢や、ずっと心に秘めて来た願いを語り合った友も、胸と頭を撃たれた。即死だろう。

 何故、このような事を続ける。何故、このようなことを繰り返す。

 分かっている。いくら終焉を願っても、届かない事なんて。

 『死ねぇぇぇ!』

 その時、後ろから殺気を感じ、地を蹴り、攻撃を避ける。

 『なっ』

 すぐに体勢を立て直し、襲撃者の足を撃ち、機動力を奪う。そして、銃口を頭に付け、引き金に指をかける。

 『待ってくれ! 死にたく無いんだ! 助けてくれ!』

 『お前らが始めたんだ。この地獄を』

 次の瞬間、バンッ! と言う銃声が鳴り響き、辺りに血が流れていく。

 もう、何も感じない。最初に人を撃った時の感触も、悲しみも、そして、込み上げてくる吐き気も無い。

 人を殺すのに慣れた。いや、慣れてしまった。

 いつ終わるんだろう、この無意味な戦争は。

 人を殺す為に銃を撃つのを、誰も求めていないのに。

 『早く、終わってくれ……』

 そう呟いた時、軍から渡された無線から声が聞こえた。

『次だ。願うより行動をしろ。足を動かせ。』

『……はい』

 また、歩き出す。人を撃つ為に。
 
 また、銃を構える。いつか、太陽が燦々と照り、その下で人々が笑っている未来を掴む為に。
 

 
 
 

 

 

2/23/2024, 8:07:57 AM