眠りにつく前に彼女に花を添えた。
大きく綺麗な睡蓮。
蒼白くなってゆく彼女の肌に映える大きな睡蓮。
私もそんなに長くは無い。
誰かが呼びかける冷たい声に大きな銃声。
彼女の肌に精血もまた映えるものだな。
綺麗な身を汚したくは無かったが…
まぁこれはこれであり、か。
おやすみ
私の小さなお人形さん
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永遠に
続く
事はないけど
来た
のかと
思う時が
来るのかも
寒さ
が聞こえ
濡れる窓
増してくると
ラジオがなる
肌が透き通る
夜景
に
箱庭
有り難う。
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理想郷。
大きく広い海のような、
小さく狭い水たまりのような。
高く聳え立つ大樹のような、
低くひっそりとしたナンテンのような。
長く続く未来のような、
短く早い命のような。
理想郷。
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懐かしく思うこと。
小さな頃に一度だけ
この世とあの世が繋がる瞬間に出くわしてしまった。
風が強く吹き抜け 私、私の心を攫った。
落陽、暁と言ったところか?
丘の上には着物を着た女性が佇んでいた。
凛と佇むその姿は今でも忘れない。
その女性が空へ手を翳すと、鈴の音が聞こえた。
白い大きな鳥が飛んできて背に女性を乗せると
大きく羽ばたいた。
私も空へ手を翳すけれど、女性は手を振り返すばかり。
あの女性は未来の自分かもしれない。
あの女性は故人だったかもしれない。
一つ分かることは私もあの場所へ導かれるという事だけ
あの女性のモノガタリはまた別のお話で
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もう一つの物語。
目を覚ますと、吐く息が白い
凄く、不思議な夢を見た。
誰か、何かから逃げていた?
戸を開けると庭が真っ白。
「綺麗ですね猫未様」
『あぁ、うん、綺麗だね。』
当たり障りのない返事をし、戸を閉めた。
真っ白な庭は何か大切なものを忘れるようで怖かった。
一面の雪景色を綺麗と心から思えるのは
純粋だからだろうか?
戸を閉めても深々と寒さが増してくる。
落ち着いて、呼吸をした。
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