本気の恋、
僕は君に恋をした。
白い肌の少女に。
お揃いにしたキーホルダーも、今はガラクタ。
君は二度と帰らないと、
蝉の声にあの夏が蘇る。
繰り返す
フラッシュバック・蝉の声・
二度とは帰らぬ君
永遠に千切れてくお揃いのキーホルダー
夏が消し去った白い肌少女に
哀しいほど取り憑かれてしまいたい。
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喪失感、
終わりを知らせるように、
入道雲がかなとこ雲に、
入道雲の味は秋日和、
かなとこ雲の色は彩星、
空を見上げて月が出る、
夕日に照らされる月は、
僕に移っていた、
遠くの空で鳥が飛び、
雨の匂いと一緒に焼きたての甘い赤子が私を攫う、
見上げるばかりの晴天で、
空は曇りがち、
朱色に染められた布の端を静かに切り取る、
散りばめた星屑を手で集めても、
鉛丹色の雲が覆いかぶさる、
終わらない静かな時間に、
終わりを告げる、
今夜は私を蔑む。
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世界に一つだけ
世界に一つだけを見つけたくて。
旅に出る。
その土地の人、物、景色を、
身近に感じられるから行く価値がある。
世界に一つだけ
世界に一つだけを見つけたくて。
家に居る。
その家の人、物、景色を、
見慣れたからこそ光り輝く価値がある。
世界に一つだけ
世界に一つだけを見つけたくて。
空を見た。
海を見た。
未来を見た。
過去を見た。
世界に一つだけ
世界に一つだけを見つけたくて。
貴方のところへ
思いを抱え、
何か特別な意味もなく
何か特別な価値もなく
貴方を包み込める毛布になりたいなと、ただ思った。
世界に一つだけは世界から認められたもの。
世界に一つだけは世界から見放されたもの。
世界に一つだけは皆んなが決めれるもの。
世界に一つだけは私だけが決めれるもの。
世界に一つだけは大きくて小さい。
世界に一つだけは広くて狭い。
貴方の世界に一つだけは?
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胸の鼓動は高鳴るばかりで、
状況は何一つ進展していない。
硬直状態が続き、何をしたら良いのか
分からなくなってきた。
◯◯◯が重い口を開き空気を動かした。
空には大きな虹がかかっている。
雨も上がり、そこに咲いている花々が露で揺れていた。
自分の、自分の立ち位置さえ決められた閉鎖空間では
もう、どうすることも出来ない。
どれだけ笑顔で振る舞おうと、
どれだけ八方美人でいようと。
状況は何一つ進展しない。
それが真実なのか、歪められた事実なのかは
『しんでみないと分からない。』
私は刻一刻と過ぎて行く正確さが嫌いです。
私は誰かを傷つける人が嫌いです。
私は私自身が嫌いです。
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踊るように舞う蝶を部屋の中から眺める。
綺麗だなとか美しいなとか
そんなのはわからない
過ぎていく世界が不思議で、
過去に囚われる私もまた不思議だ。
私を競売に賭けた人も私を買った人も
何が良いのか私には解らない。
踊るように舞う蝶が部屋の中に入ってきて
ガラスに当たって落ちた。
私は布の上に寝かせてしばらく眺めた。
「蝶柄」
蝶が意識を戻したのかひらひらと庭へ飛び始めた。
「箱庭」
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