夜の海に、
眠れない夜に、
波の音を聞きに、
自分の存在を確かめる為に、
海の音は静かに響いて、私の足元へ、
『どうしたの?』
『一人なの?』
『僕で遊ばないの?』
『貝殻は?』
「眠れないの」
「一人だよ」
「また、今度ね」
「貝殻…貰おうかな?」
なんて、夜の海と話しながら。
自分の存在を確かめる為に、
波の音を聞きに、
眠れない夜に、
夜の海に、
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自転車に乗って見知らぬ街を進んで行く。
ここにある建物もいつか無くなってしまうだろう。
自転車の風で草木が揺れ私を後押しする。
誰も知り合いはいないから気を遣うこともない。
綺麗と思った事は私の心の中から。
綺麗と思えた事の原動力を足に。
ぐんと、背伸びをすると髪がなびいてとても気持ちいい
でも、少し淋しい、パシャ、と写真を撮って友達に送る
「今度ここいかない?」
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心の健康にも気を付けてください。
医師がそう言った。
私の病名は白子症というらしい。一般的にはアルビノだ
心の健康?!冗談きつい
「そんなんやから、まだ病気が治らないんやろ
もうええ」
バンと音を上げドアを閉める。
どんだけ、私を大事にとっておきたいんや、
デザイナーベイビーやからか?
なんで、なんでなん。
なんで私達が苦しまなあかんの?
拷問の時間が迫って来る。
私達が日常をおくるにあたって病みはあの人だ
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君の奏でる音楽は切なくも美しい物だ。
終わりが来ると知っているからとても切ない。
音色が空へ広がって、風が吹くと暑さも飛んでゆく。
花や木が揺れ、私の制服のスカートが揺らめいた。
音楽が止まると私はゼンマイを巻く。
ジジジ、ジジジ、
壊れたオルゴールから音はならない。
でも聞こえる。
静かに空気の揺らす音が
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麦わら帽子。
私の母が最初で最後に贈ってくれたもの、
デザイナーベイビーの私は母や父、私に手を加えた人の存在を知るすべはない。
ある日、私の家に一通の手紙と麦わら帽子が届けられた
手紙には、
『これを貴方に』
と、書かれていて差し出し人は誰かわからなかった。
でも、私は母だなと確信していた。
手紙はもう来ないだろう。
私と関わると碌な事がない。
と、当時は思っていた。
もうかぶれないくらい小さくなった麦わら帽子は今でも私の宝物だ。
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