「好きですっ!付き合ってくださいっ!」
私は、彼に告白して、OKをもらえた。
「彼女さんにバレないの?」
「バレたとしても別れるだけだから大丈夫笑」
浮気…されてたんだ。
私は、遊びだったんだ。
こうなることなんて、最初から決まってたのに。
「明日、もし晴れたら、ピクニックに行こうねー」
「うん!いく!ぴくにっく!」
お母さんと約束をしたあの日。
次の日は、雲一つ無い晴天だった。
まさに、ピクニック日和で、気候も丁度よかった。
ピクニックに行く用意だってしていた。
その朝まで、体調に何一つ異変のない健康だった。
キキーッと急ブレーキがなって、目の前が赤く染まる。目を開けるとあったのは、変わり果てた日常と心に空いた穴だけだった。
ずっと楽しみにしていた、ピクニックに最適な公園の目の前にある十字路。
そこには、あの日から数束の花が添えられている。
窮屈なほどぐっと電柱に縛られているその花は、お父さんによるものだった…らしい。
私自身、父親の顔をみたことがないのでよくわからない。自分の心をぎゅっと締め付けている、お父さんがいたら、母は助かったのではないかという疑問。
そんなこと考えても、もうどうしようもないのに。
今日は、母の命日。
「明日はお盆だね」だとか、
「今日は、ピクニック日和だね」だとか。
くだらない話を無機質な石に聞かせてあげる。
「明日、もし晴れたらサンドイッチ持ってくるよ」
「明日はピクニック日和だといいね。」
明日なら、きっと―――
1年前、友達が車に轢かれて亡くなった。
半年前、親友が愉快犯に刺されて命を落とした。
1ヶ月前、両親が家に来た強盗に刺されて死んだ。
昨日、恋人が変死体となって発見された。
私にㇵ、大切な人を殺してしまう力があるのヵもしれなゐ。ダから、みんな死んジゃったのかもしれなィ゙。どうㇱよウ。私のセいだっタら。
だから、一人で居たかった。
一人だったら、こんなことに困らなくていいから。
なのに、私に寄り添ってくれる人がいるせいで。
私を好きになってくれる人がいて、私がその人を好きになってしまったせいで。
みんな死んでしまって、ずっと、苦しかった。
一人で痛かった。心がズキズキして、私なんていなければみんなは、って、何度も思った。
それなのに…
それなのにさぁ?
「大丈夫?」
君が私を心配するから。
君が私に寄り添うから。
君と居たいって思うから。
私は、また過ちを犯してしまうんだ。
「なんであんたはいつもいつも!」
「このばいきん!」
「あんたなんかいなくなればいいのに!」
こんなことを言われ続けた小6の夏。
ある日、じゅくの帰り道に少し寄り道をした。
まあいつも右から帰っていたのを左に変更しただけだけど。
そしたら、お母さんとおばあちゃんでけんかになっちゃって。
「私は一緒に帰ってきてたのに…」
うそつき。一緒に帰ってなんてくれなかった。
「貴方は娘達のことを知ってるんですか!?」
あんただって私のこと何も知らないくせに。
姉が毎夜首にベルトを巻いて苦しんでた時期も、
あんたがいなくなったときに中指立ててることも
私がひもで首をくくって、死ぬのをこわがってをくり返してることも、
何にも知らないくせに。
そのけんかをぬすみ聞きして、私は気づきたくないことに気づいてしまった。
誰も私のことは必要じゃないんだ。
その瞬間、死ぬのを怖がってた理性が砕け散って、気がついたら首と二段ベットを紐で括り付けていた。
今椅子に乗っているけど、ここから飛び降りたら、楽になれるんだよね…??
そうした瞬間、長時間の苦痛が起こった。
苦痛のあと、一瞬だけ、鳥かごが壊れたかのように自由を感じた。
これで、よかったんだ。
「うざいのよ、あんた!」
親友の杏奈がいじめられてる。
でも、助ける勇気なんかない。
「もーやめてよ…助けて、美里…」
「…」
そんな日々が続いて半年経った。
「もう学校くんじゃないわよ、この…!!!」
いじめっ子が殴ろうとする。
「や、やめてよ!!」
とっさにかばってしまった。
「は?何よあんた!!」
結局ふたりとも殴られてしまった。
「…なんで庇ったの?美里も嫌なことされるだけじゃん!!そんなことしなくていいよ、」
「確かに、庇わないほうがよかったかもね
でも私、後悔してないんだ。見捨てるより、
今はよっぽど気分が晴れてるから。」
私は大きなものを失った。
クラスでの立ち位置、虐められていない充実した学校生活、痣のない身体。
でも、同時に大切なものを手に入れた気がした。
「いつになったって私達は仲良し同士でいようね」
「約束だよ」
この友情は、手に入れられたから。