「明日、もし晴れたら、ピクニックに行こうねー」
「うん!いく!ぴくにっく!」
お母さんと約束をしたあの日。
次の日は、雲一つ無い晴天だった。
まさに、ピクニック日和で、気候も丁度よかった。
ピクニックに行く用意だってしていた。
その朝まで、体調に何一つ異変のない健康だった。
キキーッと急ブレーキがなって、目の前が赤く染まる。目を開けるとあったのは、変わり果てた日常と心に空いた穴だけだった。
ずっと楽しみにしていた、ピクニックに最適な公園の目の前にある十字路。
そこには、あの日から数束の花が添えられている。
窮屈なほどぐっと電柱に縛られているその花は、お父さんによるものだった…らしい。
私自身、父親の顔をみたことがないのでよくわからない。自分の心をぎゅっと締め付けている、お父さんがいたら、母は助かったのではないかという疑問。
そんなこと考えても、もうどうしようもないのに。
今日は、母の命日。
「明日はお盆だね」だとか、
「今日は、ピクニック日和だね」だとか。
くだらない話を無機質な石に聞かせてあげる。
「明日、もし晴れたらサンドイッチ持ってくるよ」
「明日はピクニック日和だといいね。」
明日なら、きっと―――
8/1/2024, 11:48:10 PM