『雪』
小学生の頃、雪がたくさん降ると雪の上でゴロゴロしたり、雪を食べたりしてはしゃいだ。
みんなで雪合戦もやったけどとても楽しかった。
最終的にみんなで雪だるまを量産して、グラウンドにどれだけ並べられるか、みたいなことをしていたのが懐かしい。
張り切ってのめり込みすぎた結果、グラウンドの土まで巻き込んで、雪だるまならぬ泥だるまになっていたのもいくつかあったような……。
雪かきの大変さを知らなかった頃は、純粋に雪そのものを楽しめていた。
今はというと、とにかく雪かきしたくないから降らないでと願うことが増えた。
子どもの頃はあんなに楽しかった雪は、大人になった今は敵となって私と対峙する相手へと変貌した。
今年も雪に負けず、雪に勝つ気持ちを持って残りの冬を過ごそうと思う。
『君と一緒に』
「この冬は君と一緒にしたいことがあるんだ」
無邪気に満面の笑みを浮かべる彼と、そう約束した昨年の終わり。
──というわけでやってきたのは、とある雪国のスキー場。
都会育ちには、何メートルとあるこの量の雪は、もはや珍しいを通り越して童心に帰りそうになる。
なるほど、彼が来たがったわけだと納得した。
元来アウトドア派の彼は、お互いの休みが重なると出かけようと誘ってくれる。
私も連れて行ってくれるなら……と、便乗して出かけている。
私も時々デパートをぶらぶらするのが好きなので、気分転換に外出するのがそんなに苦ではない質だった。
スキー場に着いてから、体がくたくたになるまでとにかく遊びに遊んだ。
こんなに羽目を外して子どものように遊んだのはどのくらいぶりだろうか?
多分、いつもとは違う非日常だからこそ、より楽しめたのかもしれない。
幸い、まだ数日はこのスキー場の近くのホテルに滞在するので、もう少しだけこの非日常を楽しもうと思って心が浮き立つのだった。
『冬晴れ』
毎日毎日降り積もる雪。
雪国はこの時期、大量に降り積もる雪で困っている人が多い。
雪かきをどれだけしても積もるばかりで減る様子はない生活。
そんな日々の、とある一日でも晴天の日があるとなぜだかほっとする。
雪が降らないことと、わずかでも雪が溶けるからだ。
雪が全て無くなるまで晴れていればもっとうれしいんだけどな!
……とは思うけど、現実はそう甘くない。
それでもつかの間、ほっと一息つけるのが冬晴れなのは確か。
──明日、冬晴れになりますように。
『幸せとは』
人によって解釈が違う「幸せ」。
もし視覚化できたとして、その大きさも色もきっと違うのだろう。
でもそんなカラフルな色の幸せなら、ちょっとだけ見てみたいかもしれない。
見ているだけで楽しそうな気がする。
私にとって幸せとは、今日を一日無事に生きること。
昔どこかの本の記述だったかで見たことがある。
皆が皆、当たり前に享受しすぎて忘れがちだが、人は生きていることそのものが奇跡である。
本来、生物は長生きはしない。
だが短い命だからこそ、その一瞬一瞬を命懸けで必死に生きる。生きることに貪欲なその姿はどこか高潔にも感じる。
自然界では、食べ物にありつけずに命を終えるものもあるだろう。仲間を守るために戦って、生を終えるものだっている。
──自然界において、一日生きるほうがよほど難しいのだ。
だからそんな一日という時間をしっかりと生きている人間の命はまさに奇跡と呼ぶにふさわしい。
人々が暮らす平穏な日々はそもそも非日常であり、何かしらのアクシデントが起こるほうが日常である、と。
そうそう、「青い鳥」の童話は知っているかい?
──幸せというのは、案外自分のすぐ近く、そして自分の心の持ちようだ、ということを教えてくれる話だ。
たまには、自身の身近にある幸せを見直してみてはどうだろうか。
普段意識していないところに転がっていたり、あるいはあなたの目の前にあるかもしれないよ?
『日の出』
初日の出は、いつもテレビの中でしか見た事がない。
大晦日から日付けが変わる零時を回ってもしばらく夜中に起きている。だから早朝に起きられないのだが……。
そして住んでいる場所がその時期には天候が悪いので見られないという方が正しい。
私は毎年一月一日は、お昼近くまで惰眠を貪る。
まあ、よしんば起きれたとしても、絶対に寝不足で体がふらふらしたまま昼間に来る眠気と戦うだけだろう。
──初日の出と言えば、富士山へ登って拝むかなり行動的な方々もいる。
アウトドア派でなければできなさそうだなあと、インドア派の一人としてはテレビの映像でその行動力に感服している。
私的に言えば、日の出は山や海へ沈んでいく夕日と同じくらいには気に入っているもののひとつ。
出るのも沈むのも、本当に短時間だけれども、あの例えようもない自然の静寂の在り方が尊いと感じる。
日の出と日の入りは、太古から一切変わることのない不変のサイクルであり、人がどうこうできない自然の光景だからこそ、心を動かされるのかもしれない。
例え初日の出が見れなかったとしても、せっかくの新年なのだから、気が向いたらでいい、新年の空を見上げてみるのも何かしらの風情を感じられるんじゃないだろうか。