【好きだよ】
「自分の事が嫌いなの?」
「私は私の事が好きだよ
本当に嫌いな物に費やす時間はないわ」
「でも君は自分の事を卑下している」
「そりゃ、世界で一番大好きな私には
幸せになってもらわなくちゃダメだもの」
「変わってるね」
「そう?好きの反対は無関心
なんて言われているけれど私は違うと思うの」
「それはどうして?」
「だって私はあなたに無関心だから
好きと嫌いが混ざり合った時
無関心と言う感情が生まれる
私はそうだった」
「君は僕が嫌いなのかい?」
「あなたまるでグリーンベルね
嫌いだけれど憎らしいほど愛おしい」
【桜】
誰もが羨む美しい姿
昨日まではそうだった
散ってしまえばもう終わり
私の命の灯火尽きるまで
見下されるこの気持ち
あなた達には分からないでしょう
これは私達「桜」の人生
花の寿命はとても短い
私達を踏みつけても
何も感じていないよう
人間が憎らしい
屍の上で娯楽を生み出す
私達のようなものには
価値がないのでしょうね
【春風とともに】
真冬に雪が降る、まるで
自分の存在を示しているようだ
冬の命は強かった
冬は誰よりも頑張っている
でも、私の妖精さんたちは
寒さが大の苦手だった
妖精さんも必死だ
でも、世の中は弱肉強食
私は妖精さんの味方だから
暖かい春になることを願ってる
私は妖精さん達が春風とともに
帰って来るのを心待ちにしている
でもあの時頬を掠めた
柔らかい雪はとても優しかった
冬の命は強い
確かに強いけれど
弱さを必死に隠していただけなのね
私、冬が大好き
【涙】
6月のある昼間
少し湿った芝生に寝転がる
空には皆大好きな
ふわふわのわたあめ
「あなたはきっと
皆に好かれているんでしょうね」
「それはどうかな
…君は6月が好きかい?」
「嫌いよ、だって雨が降るんだもの」
わたあめは急に白から黒くなった
皆から愛されているわたあめは
私が大嫌いな冷たい雨だったのだ
「自分なりに自分が好きだ
でも、自分を好きでいることを
皆の言葉が邪魔するんだ」
雨は心からの涙だった
私は呆然するしか無かった
【春爛漫】
凍てつく夜空から
雪がはらはら降り注ぐ
この時期になると
春が恋しく感じ始める
早く暖かい季節になって欲しい
まるで桜のように美しく降り注ぐ
雪に向かい思いを委ねる
今日が春だったら
雪が桜だったら
春爛漫なんて言葉が
合うのかななんて考えて
あぁ春が待ち遠しい
冬はどうしても寒くて
心が凍りついてしまう
早く溶かさないと