【見知らぬ街】
私の家の近くには
小さな小さな公園があった
いつも人っ子一人居ないのに
管理が行き届いているその場所
たまには誰が行かないと
公園も寂しいだろうなと思ったのだ
今日の為だけに引っ張り出してきた
レジャーシートの上に寝転ぶ
青い空には雲がひとつも…
なんてことは無いけれど
いつも忙しなく動いてばかり
そんな私が安心できる場所
そんな所がこの世界に
こんな近くにあったなんて
ここはまさしく見知らぬ街
私の、私だけの楽園だった
たまにはこんな日があっても
いいのだと心の底から思う。
【眩しくて】
生まれた瞬間から
愛される事を約束された存在
そんなあいつが
「高い壁にぶつかっても
死ぬ気で努力すれば報われる」
だってさ
周りはそれを聞いて言う
自分の力だけで頑張って来たんだねと
親の金でやっているそうだ
塾に英語にダンスにピアノ
俺はそのスタートラインにすら
立たせて貰えなかった存在だ
俺が目の下に濃い隈を作っている間
あいつは親の金で遊んでる
多分あいつは愛されていたから
死ぬ気で金を稼いだ事が無いんだと思う
お前が散財してるその金は
親が必死に働いて貯めた金だと思うよ
そんな親を見下すような事を言っても
親にも友達にも愛されるあいつが
すごく眩しくてずるいから
俺は努力が報われるまで頑張る事にするよ
【熱い鼓動】
暖かい夏の夜空と
ぽつりぽつりと瞬く星々
焚き火の音に揺られながら
空に輝く光を眺める
星が瞬く瞬間を見たのは
人生で初めての経験だった
小さな光が薄くなったり濃くなったり
本当に星って瞬くんだなと
軽い感想を思い浮かべながら
いつの間にか眠ってしまった
一日の半分くらいを埋め尽くす
小さな小さな悩み事
今思えばその時確かに
私は世界から解放されていた
熱い鼓動に乗せられて
唇を少しだけ噛み締める
でもすぐに緩んでしまう
そんな夜でした
【涙の跡】
庭に綺麗な花が咲きました
可愛らしい黄色の小さな花です
風に揺られる様子を見ると
心が温かくなります
ぼーっとしている時間こそが
何よりも幸せだと感じる今日この頃
この美しい世界が
いつまでも続きますように
ふとした瞬間
そんな思いが頭をよぎります
いつか私が燃え尽きる瞬間を
考えると涙が溢れ出して止まりません
雨上がりには虹がかかります
涙の跡だって星屑になれるはずです
そうじゃなきゃダメだと
漠然とした心で感じています
夜空に散らばって
誰かの願いを静かに照らす
そんな光で輝ける
優しい人になりたいです
【半袖】
お母さんの帰りが遅くなる日
冷房を下げてカルピスを濃く作る
ダラダラと宿題をしながら
ポッキーを1箱全部食べる
それが小学生の頃の贅沢な時間
昔は確かにそれで幸せだった
ガンガンに冷房をかけた部屋で
長袖長ズボン毛布をかけて
カップラーメンを食べる私
夜ご飯を作るのは面倒臭い
いい大人が何をやっているんだろうか
最近家から出てないから不健康だし
最近は光熱費も食費も上がったし
せっかく買った半袖も使い所が無い
あの頃に戻りたいな
お母さん元気かな?
ご飯を食べながら
スマホを触る私を見たら
お母さんはなんて言うかな?