【七色】
「内緒だよ。」
お母さんはそう言って
いつも私に飴をくれた
大人になった今でも
私はこの飴が大好き
だってお母さんの声のように
透明で透き通っているから
だから私はお母さんに向けて
今日も手を動かす
『おかあさんのこえ、ききたいな』
そうするといつもお母さんは
優しく微笑んで歌を歌ってくれる
私はもう耳が聞こえないのに
わがままを聞いてくれるお母さん
「─────。」(ありがとう)
飴を1つ摘み空を覗くと
優しい光が飴を七色に染めてくれた
【君と見た景色】
不思議ね
朝なのに星が輝いているわ
世界がアマノジャクに
なってしまったみたい
虹の色はグレーだって
前に君が言ってたわよね?
あの時私は「そうだね」って返した
でもあれ嘘なの
私には鮮やかな虹色に見えていたの
でも今はグレーに見える
本当に不思議よね
あの時君と見た景色は
本当に存在していたのかしら?
【透明】
泥を被った瓶
人々はそれを汚らわしいと言った
人は見た目に囚われている
薄汚れているより
真新しい方が美しい
気になったのだ
泥が落ちたそれは
憎らしいほどに透き通っていた
透明、空を意味する色
ガッカリだ
肩を落とした私に『あなた』は言った
「君は瓶の蓋を開けないんだね。」
【終わり、また初まる、】
✎「潮時」の誤用について
「終わり、また初まる、」
それにちなんだ言葉を思い浮かべた時
真っ先に「潮時」が思い浮かんだ私は
ちょっとおかしかったりするのでしょうか?
潮時って、物事を始めるのに
ちょうどいい時期を指す言葉なんです
「おわり」という意味で使われがちなこの言葉
本来は「はじめ」として使われるべきなこの言葉
「終わり」と「初まる」
なんかそれっぽいよな〜って思いました
意気揚々とこんな事綴っていますが
正直いって私自身この考え方が「正しい」のか
それとも「間違い」なのか分かりません
ただ、「潮時」について考えてみたかっただけなので
【星】
星を手に入れた事
ありますか?
私は何度も何度も
掴んだ事があるんです
でも、いつだって
星は私の手から居なくなります
こぼれ落ちてしまうんです
パシャン、ポタポタ
「ほらね?」
本当は分かっているんです
空には手が届かないでしょう?
夜空に煌めく星は手に入らない
だから、私にはこれで十分
波紋に歪む小さな光でいいんです