【春風とともに】
真冬に雪が降る、まるで
自分の存在を示しているようだ
冬の命は強かった
冬は誰よりも頑張っている
でも、私の妖精さんたちは
寒さが大の苦手だった
妖精さんも必死だ
でも、世の中は弱肉強食
私は妖精さんの味方だから
暖かい春になることを願ってる
私は妖精さん達が春風とともに
帰って来るのを心待ちにしている
でもあの時頬を掠めた
柔らかい雪はとても優しかった
冬の命は強い
確かに強いけれど
弱さを必死に隠していただけなのね
私、冬が大好き
【涙】
6月のある昼間
少し湿った芝生に寝転がる
空には皆大好きな
ふわふわのわたあめ
「あなたはきっと
皆に好かれているんでしょうね」
「それはどうかな
…君は6月が好きかい?」
「嫌いよ、だって雨が降るんだもの」
わたあめは急に白から黒くなった
皆から愛されているわたあめは
私が大嫌いな冷たい雨だったのだ
「自分なりに自分が好きだ
でも、自分を好きでいることを
皆の言葉が邪魔するんだ」
雨は心からの涙だった
私は呆然するしか無かった
【春爛漫】
凍てつく夜空から
雪がはらはら降り注ぐ
この時期になると
春が恋しく感じ始める
早く暖かい季節になって欲しい
まるで桜のように美しく降り注ぐ
雪に向かい思いを委ねる
今日が春だったら
雪が桜だったら
春爛漫なんて言葉が
合うのかななんて考えて
あぁ春が待ち遠しい
冬はどうしても寒くて
心が凍りついてしまう
早く溶かさないと
【七色】
「内緒だよ。」
お母さんはそう言って
いつも私に飴をくれた
大人になった今でも
私はこの飴が大好き
だってお母さんの声のように
透明で透き通っているから
だから私はお母さんに向けて
今日も手を動かす
『おかあさんのこえ、ききたいな』
そうするといつもお母さんは
優しく微笑んで歌を歌ってくれる
私はもう耳が聞こえないのに
わがままを聞いてくれるお母さん
「─────。」(ありがとう)
飴を1つ摘み空を覗くと
優しい光が飴を七色に染めてくれた
【君と見た景色】
不思議ね
朝なのに星が輝いているわ
世界がアマノジャクに
なってしまったみたい
虹の色はグレーだって
前に君が言ってたわよね?
あの時私は「そうだね」って返した
でもあれ嘘なの
私には鮮やかな虹色に見えていたの
でも今はグレーに見える
本当に不思議よね
あの時君と見た景色は
本当に存在していたのかしら?