【透明】
泥を被った瓶
人々はそれを汚らわしいと言った
人は見た目に囚われている
薄汚れているより
真新しい方が美しい
気になったのだ
泥が落ちたそれは
憎らしいほどに透き通っていた
透明、空を意味する色
ガッカリだ
肩を落とした私に『あなた』は言った
「君は瓶の蓋を開けないんだね。」
【終わり、また初まる、】
✎「潮時」の誤用について
「終わり、また初まる、」
それにちなんだ言葉を思い浮かべた時
真っ先に「潮時」が思い浮かんだ私は
ちょっとおかしかったりするのでしょうか?
潮時って、物事を始めるのに
ちょうどいい時期を指す言葉なんです
「おわり」という意味で使われがちなこの言葉
本来は「はじめ」として使われるべきなこの言葉
「終わり」と「初まる」
なんかそれっぽいよな〜って思いました
意気揚々とこんな事綴っていますが
正直いって私自身この考え方が「正しい」のか
それとも「間違い」なのか分かりません
ただ、「潮時」について考えてみたかっただけなので
【星】
星を手に入れた事
ありますか?
私は何度も何度も
掴んだ事があるんです
でも、いつだって
星は私の手から居なくなります
こぼれ落ちてしまうんです
パシャン、ポタポタ
「ほらね?」
本当は分かっているんです
空には手が届かないでしょう?
夜空に煌めく星は手に入らない
だから、私にはこれで十分
波紋に歪む小さな光でいいんです
【秘密の場所】
お父さんは
誰よりもカッコイイ人なの
お母さんは
誰よりも可愛い人なの
私二人のことが大好き!
言葉にして伝えたかったな
あら?
空から可愛い天使さんが
私に向かって手を伸ばしているわ!
……………
ごめんね
お父さん、お母さん
私もう逝かなきゃ
秘密の場所から見守っているわ
「ーーーーー(ありがとう)」
ピッピッピッピーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私、幸せだったよ
だからそんなに泣かないで
【ひらり】
先輩、好きでした
ずっとずっと好きでした
そばにいたい、呼吸を感じたい
そんな願い叶わないと分かりながら
体温は戻らない、もう二度と
ねぇ、聞いてください
「私、卒業しました。」
ひらり
先輩が好きだと言った薄桃色が
風に揺られ舞い落ちる
頬を撫でる雫も、今だけは同じ色
「──────────。」
想いはもう届かない