沈む夕日
朝起きても一人
歯を磨いても一人
飯作っても一人
飯食っても一人
街歩いても一人
ゲーム買っても一人
家帰っても一人
酔っ払っても一人
配信見ても一人
欠伸しても一人
夜寝ても一人
朝起きても一人
咳をしても一人
咳をしても一人
星空の下で
年始に張り切って買ったのに、いつの間にか埃がかぶってた日めくりカレンダーを、一気に明日まで破り捨てた。
ポケットでバイブが鳴った。スマホを取り出してみる。
メモ書きがびっしりと書かれた日めくりカレンダーは、一枚減り、明日に繋がる。
時計を見て、スマホを開いた。
>まだ起きてる?
明日が楽しみだぜえ<
>明日の朝、遅刻厳禁
おけーだよー<
>そう言って遅刻する人を知ってる
ごめんて<
>ねえ外見てみて
今ベランダ<
画面が一瞬暗転し、電話が繋がる。
もしもし?とは少し違う。やっほー。は軽すぎる。
電話の向こうから開口一番。
耳近すぎー、真っ暗じゃん。
そう言われた。
顔を離して、君を見る。
一つだけ
鉛筆画をぐちゃぐちゃに握りつぶして、ゴミ箱に投げたが入らなかった。拭った汗は黒く、生温かかった。満足いく風刺画が描けず、一か月が経過していた。
アトリエには湿度を含んだ隙間風が絶えず吹き込んでくる。
ゆっくりと伸びをした後に席を立ち、腰を回すとバキバキと音が鳴った。持っている中でいちばん上等な服に着替えて、近所の文房具屋に向かう。
足取りが重い。
石畳に躓いた。
文房具屋はあまり繁盛している様子ではなかったが、店主の気立てがよく、固定客がよく出入りしているよつだった。
絵画のことを愚痴ると、「まだまだ若いんだから」と、店主に励まされる。同情に似た感情が辛かった。絵を何枚か手渡し、無言でその場を離れた。
また描いた。上手くはいかない。書くのをやめた。ストレスでおかしくなりそうだった。暗く狭い、ただの部屋の中で閉じこもり、鉛筆だけが無駄に短くなっていく。
何かが違う。何が違う?何かが違う。
満足できない。多分一生そうなんだろう。
未来で庭に咲き誇る鮮やかな睡蓮を思い描きながら、目の前の真っ白なキャンバスに向かう。
大切なもの
外から、刑務所の中は見えない。
面会席に座るが、小部屋以外はわからない。目の前の小さなな男は、じっとこちらを見つめていた。
テレビで見た顔とは少し様子が違っていた。
被害者を想うと悪感情が湧き上がるが、あくまで平静を装って。
問いたい。
東京の真ん中で、山彦は聞こえるのか。
幸せに
幸せにおなりよ。ほんとに。