暗い部屋で彼女と2人。見つめ合っている。音も聞
こえぬ深夜の2時。丑三つ時。何も言わずに見つめ
合っている。僕のことを言葉も無くただ見つめてく
る彼女の唇に、そっとキスをした。そんなことをし
ても、もう驚いてはくれないのに。僕を見つめる、
彼女の瞳は沼のように暗く、光を灯していない。僕
は先程犯してしまった罪を、もう何度目になるかは
分からないが心の中で静かにごめん、と謝罪した。
こんなことで許されるなんて思ってはいないけど、
僕の心持ちの問題だ。彼女のお腹に刺さる刃物は赤
い液体を零しながら鋭く光る。本当に出来心だった
んだ。本当に殺るつもりなんてなかった。でも結果
はコレだ。僕は、静かになった部屋の中で、彼女を
ずっと見つめながら謝罪を繰り返し、彼女を自分だ
けのモノに出来た事をほんの少しだけ喜ぶ。そんな
ことを繰り返す。あと少ししたら後を追う。せめて
もの罪滅ぼしだ。いや、逃げの道か。でもあと少し
待ってはくれないだろうか。あと少し、君の隣で。
【見つめられると】
「みつちゃんの髪サラサラ〜いいなぁー。」
みつちゃんの髪を撫でながら言う。
「そんなこと無いよぉ〜私は背が高いなーちゃんのほうが憧れちゃうなあ。」
なんてみつちゃんは私の身体をつま先から頭までじっくり見渡す。
「お互い、ないものねだりだね?」 なんて笑う。
【ないものねだり】
あんたの事は好きじゃない。だからって嫌いでも無
いけど、でも好きじゃない。初対面で嫌いって言わ
れて、好きでいるのは無理があると思う。でもそれ
は一方的な敵意。こっちが嫌う必要はないと思う。
だからと言って好きなわけ無い。きっとそうだよ。
当たり前だよね。絶対に周りに流されてくれないよ
うなところとか、言わなくても良いところまで言う
無神経なところとか、誰にでも態度を変えないとこ
ろとか。きっと好きじゃない。仮に、もしあたしが
好意を持ってしたとしても、あんたが私を好く必要
なんか無いもんね。好いてなんて、くれないよね。
あぁきっと、これは実らないんだろうなぁ。
【好きじゃないのに】
貴方は私にとって、特別な存在。腹を痛めて産んだ
子ですもの。唯一無二で宝物。だから、そんなこと
言うなんて信じられない。死にたいなんて。産んだ
私の気持ちを考えたことある?一体何がダメだった
の?私の至らなかったところはどこ?言ってくれた
ら直すから、だからお願いそんなこと言わないで。
母さん悲しくなるわ。相談にはのるから。困ってる
ことがあったら言って欲しいの。
【特別な存在】
髪を乾かすのがめんどくさいって濡れたまんま布団
に入って、風邪をひいて濡れた布団を乾かす私、バ
カみたい。私絵描くの上手いんだよー!って言って
る癖してあまり上手くないあの子、バカみたい。
「死ななきゃ良いこと絶対ある」なんて正論じみた
綺麗事をぬかす親戚も、バカみたい。クレーンゲー
ムで一万円をスった弟も、宿題を忘れて友達に見せ
てもらう姉も、運動音痴で高いところからおりれな
い癖して学習しないミャーコも、信頼出来る人を無
くし何もかも信じられなくなった私も、みんなみー
んなバカみたい。
【バカみたい】