NoName

Open App
4/22/2026, 11:13:20 AM

たとえ間違いだったとしても(914.6)

後から判明する事がある。
アスベストは発がん性があるだとか。
ノストラダムスの大予言は嘘だとか。
推しの不祥事が判明して、思ってた人と違うとか。
事前にわかる術があれば良いのだが。

当初は正解でも、時代やモノが変容して、やがて不正解となるものもある。
流行り廃りはその最たるものだ。

けれど、私には譲れないものがある。
後からたとえ悪いものだと判明したとしても、もはや最近はそのように言われているけれど、お酒だけは。
たとえ間違いだったとしても、今やめる選択肢はない。

4/21/2026, 1:33:15 PM

雫(914.6)

鍾乳石を作るのも、
石に穴を穿つのも、
長い年月をかけた雫の力。
徐々に積み上がっていくのと、
穴をあけるのでは真逆だけれど、
不思議なもんです。

4/20/2026, 12:49:18 PM

何もいらない(オリジナル)

「乾杯」
自宅にて妻とワイングラスを捧げて乾杯した。
僕の仕事上の相棒が今日、結婚を発表したからである。
独身芸能人として人気が高かった我々は、お付き合いを表に出すわけにもいかず、とはいえ、長い付き合いとなれば年齢的にけじめをつけないわけにもいかず。
どうするんだろうと見守っていて、いい加減痺れを切らしていたところ、一昨年、目の前の妻が救世主のように僕の前に現れたのであった。
「作戦成功だね」
「本当に。ありがとう」
僕は心から礼を言った。
彼女は僕の共犯者だった。

僕は相棒の事が誰よりも好きだった。
彼よりも好きになれる女性がおらず、さりとて男が好きというわけでもなく、人並みに親を安心させたい気持ちもあった。
悩んでいたところ、彼女が僕の感情に勘づいて、声をかけてきてくれたのだった。
僕の事情とは異なるが、彼女も立場やらもろもろでひとりでいる事に煮詰まっていたらしい。
さらに、彼女には家族愛と友達愛はあるが、潔癖気味でキスは嫌、肉欲は皆無で、子供も欲しくないという。
互いの利害が一致しての結婚であった。
相棒にとって、僕に迷惑がかかるであろう事も懸念事項だったろう。彼に結婚の勇気ときっかけを与えるために、僕は良き見本を見せた。
電撃発表、その後のファンの反応、するべき振る舞い、チケットの売れ行き等々。
結果、大成功だったと思う。
そして、彼は決意をして。
無事、今日に至るわけだ。
僕はポロリと涙をこぼした。
妻が、優しい顔でこちらを見つめている。
「辛いよね」
「うん。でも、僕が選んだ事だから」
彼の役に立てた事が嬉しい。
彼が幸せになってくれたら嬉しい。
そんな彼がずっと僕の相棒であればいい。

僕は、どんな形であれ、君さえずっと隣にいてくれたら、他には何もいらないのだから。

泣き続ける僕の側で、男前の格好良い妻が寄り添って、ずっと背中をさすってくれた。
僕の秘密を知り、協力してくれた妻。
最高の友を得たと思う。

4/19/2026, 11:58:49 AM

もしも未来を見れるなら(オリジナル)

子供は元気が一番。
失敗から学ぶ事も多い。
なので、あえて失敗させる事もある。
そういう教育方針だった。
おかげで、すごく元気に、わんぱくに育っている。

今日も今日とて、人の多い駅構内を走り回っていた。
小学校低学年の兄弟で追いかけっこをしている。
やがて、長い階段を駆け上がり始めた。
周囲の人が眉をひそめているのでさすがに限界だろう。
私は注意するべく、階段の中程で声をかけた。
「翔、大地、走るのは」
私の目に、翔が振り返って足を踏み外す姿がスローモーションのように見えた。
「危ない!!!」
悲鳴のような声が出て、とっさに手が出るが、子供達は手すりの反対側、かつ、10段以上の差があった。
息子の真下には、杖の老人。
勢いよく、ドンとぶつかり。
老人の後ろには、スマホを見て階段を上っている若い女性。
老人が短い悲鳴をあげて彼女にぶつかり、彼女もまたとっさの事に手も足も出ず。
3人は勢いをつけたまま、団子になって一番下まで転げ落ちていった。
私は蒼白になって、ガクガクする足を何とか動かして、手すりを頼りに下まで降りた。
「痛ててて」
一番上になって落ちた息子は大きな怪我もなく、無事のようであった。
やっちまったという顔をして、こちらを見ている。
「お母さん。ごめんなさい」
彼の下には、頭から血を流した老人が。
その下にも、手足が変な方向に曲がった女の人が。
「き、救急車!!」
誰かが、大きな声をあげた。
周囲が騒然となる。
息子の腕を、見知らぬ人が乱暴に引っ張って、下敷きになっている二人から退けさせた。
私は彼を捕まえて、ぎゅっと抱きしめた。
「お母さん?」
大変な事態をまだ理解していない息子に、腹が立った。
否。
なぜ私は息子たちを注意しなかったのか。
人にぶつかったら危ないと教えなかったのか。
人が多いところでおとなしくするよう躾けて来なかったのか。
後悔が、ぐるぐると頭を回る。
もし、こうなる未来が見えていたら。
決して息子たちを自由にさせはしなかったのに。

全ては後の祭り。
私はただ呆然とその場に立ち尽くした。

4/18/2026, 10:36:59 AM

無色の世界(914.6)

色盲の人がいる。
人によって世界の見え方が違うというのは驚きだった。

色は光の反射が目に入ったものが脳内で変換されているもので、物質そのものがどういう色をしているか、実はわからないという。

こういう話、とても好きです。

心理的に恋をして世界が色づくというのも良いですね。
絶望が世界を灰色に見せるのもいい。

Next