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11/30/2025, 11:55:39 AM

君と紡ぐ物語(オリジナル)

彼女とはコミケで出会った。
同じものが好きで、趣味嗜好が似ていて、お互い二次創作をしていて、合同誌を作ったりした。
SNSやオンラインゲームで常に繋がっており、リアルでもデートを重ねていた。
本日、ついにプロポーズ。
ちょっと値の張るレストランを予約した。
食後、緊張したが、用意しておいた台詞を言えた。

「僕の未来の物語、君と紡いでいきたいんだ」

彼女は少し考えた後、にっこり笑って「いいよ!」と言った。

翌日、彼女から添付資料つきのメールが来た。
件名:昨日の件
君の未来の物語、冒頭とあらすじ考えてみたよ!
SF風にしてみたけど異世界転生モノの方が良いかな?

全く通じていなかった。

11/29/2025, 10:34:47 AM

失われた響き(オリジナル)

大好きな人がいた。
仕事に真摯に取り組み、いつも誠実。
正しい事を正しいと言えて、それを実践している。
彼の言う事は絵空事で綺麗事かもしれないけれど、皆がそれを理想として努力すれば、世界はもっと良くなると信じられた。
その言葉を信じて真面目に清く正しく生きていこう。
未来はきっと明るい、そう思えた。

気高くて美しくて、そのくせ可愛くて格好良い人。

なのに、裏の顔があると暴露された。
悪いことに手を染め、悪い友達とつるみ、悪事によってお金を得、彼を信じる人たちを馬鹿にしていた事が週刊誌によって報じられた。

最初は信じなかった。
AI画像やフェイクで陥れられたのだと思った。
けれど、彼の近くにいる人間からの擁護が一切なく、彼の凄惨な過去や人間性、やらかしが暴露されるなど、色々明らかになった。
情報を追う内に、自分の方にこそ認知の歪みがあり、彼は元々そういう人間だったのだという理解が降りてきた。

彼が過去に語っていた綺麗事が、
正しい事が、
何も心に響かなくなった。

世界は灰色になった。



この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。

11/28/2025, 1:34:08 PM

霜降る朝(914.6)

霜降る朝は、家を出たら霜柱を探したものです。
雪と同じように足跡をつけたくて。
あのサクサクした感じ、楽しいですよね。

そういえば「霜柱」から某漫画を連想しました。
霜の呼吸、とか、どうでしょうね。
水柱と変わらないどころか下位互換になりますかね。

どこかで小学生が霜柱を見て名乗りをあげ、技を編み出してるかもしれませんね。

11/27/2025, 12:49:12 PM

心の深呼吸(オリジナル)

それを見た瞬間、心臓が跳ね上がった。
手が震える。
血の気が引いて、クラクラした。
頭は混乱していたが、懸命に自分に言い聞かせた。

落ち着け。
冷静になって考えよう。
深呼吸だ。深呼吸。

先月からの事を思い出せ。
カレンダーを確認しよう。
そうだ、メールに履歴が残っているかもしれない。
ネットの各ページにも形跡が残っているだろう。
もしかしたら随分前の出来事か?
それが今頃?
間違えて変なところに情報入れた?
なりすまし?乗っ取り?
フィッシング詐欺?
犯罪に巻き込まれていたらどうしよう。
警察かな。
犯人つかまえてくれるかな。

…………。

一つずつ冷静に着実に精査した結果、
鼓動は落ち着きを取り戻した。

[クレジット請求額15万円]

請求明細の全てに、身に覚えがあった。
購入予約含め今月に請求が集中したようである。

頬をつねってみたけれど、痛いので夢じゃなかった。
残念。

11/26/2025, 1:22:17 PM

時を繋ぐ糸(オリジナル)(異世界ファンタジー)

宿の部屋で一人頬杖をつきながら、ラッツはぼんやり考えていた。
昔の仲間が亡くなって10年。旅の仲間はもう作らないと自分に誓って、確かにこれまで誰とも一緒に旅をしてこなかった。
それがどうだ。
少し前に滞在した城塞国家で、監視という名目でついてくる事になった男がいる。
実は国の秘密を知ってしまった彼を追放する意味での厄介払いだったんじゃないかと思っているのだが、クソ真面目な彼は王を信じてひたすらついてくる。
そしてもうひとり。
この旅が始まるきっかけの出来事のすぐ後に偶然出会い、互いに少し助け合っただけの獣人がいる。
旅の目的はお互い違うのだが、情報収集が必要なことと、向かう方角が一致していた。
互いに異なる村や町を訪れ、その次の街で合流し、情報交換すれば効率的だ、という話になり、数ヶ月おきに先々の街で合流しているのだが。
これが案外楽しかったりするのだ。

どちらかの目的が達成されれば終わり。
どちらかの進路が変更になる情報が出れば終わり。
どちらかがペースを大幅に変えてしまえば終わり。
どちらかが命を落とせば終わり。
ただの口約束なので、いつでもやめられる。

互いに目的達成が最優先であり、このままの時間が続けば良いなどとは微塵も思っていない。
しかし、この見えない何かで繋がっているという感覚が、なんとなく心地よい。

未来の事はわからないけれど、細々とでも続いていくと楽しそうだな、などと夢想するラッツであった。

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