失われた響き(オリジナル)
大好きな人がいた。
仕事に真摯に取り組み、いつも誠実。
正しい事を正しいと言えて、それを実践している。
彼の言う事は絵空事で綺麗事かもしれないけれど、皆がそれを理想として努力すれば、世界はもっと良くなると信じられた。
その言葉を信じて真面目に清く正しく生きていこう。
未来はきっと明るい、そう思えた。
気高くて美しくて、そのくせ可愛くて格好良い人。
なのに、裏の顔があると暴露された。
悪いことに手を染め、悪い友達とつるみ、悪事によってお金を得、彼を信じる人たちを馬鹿にしていた事が週刊誌によって報じられた。
最初は信じなかった。
AI画像やフェイクで陥れられたのだと思った。
けれど、彼の近くにいる人間からの擁護が一切なく、彼の凄惨な過去や人間性、やらかしが暴露されるなど、色々明らかになった。
情報を追う内に、自分の方にこそ認知の歪みがあり、彼は元々そういう人間だったのだという理解が降りてきた。
彼が過去に語っていた綺麗事が、
正しい事が、
何も心に響かなくなった。
世界は灰色になった。
この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。
11/29/2025, 10:34:47 AM