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11/28/2025, 1:34:08 PM

霜降る朝(914.6)

霜降る朝は、家を出たら霜柱を探したものです。
雪と同じように足跡をつけたくて。
あのサクサクした感じ、楽しいですよね。

そういえば「霜柱」から某漫画を連想しました。
霜の呼吸、とか、どうでしょうね。
水柱と変わらないどころか下位互換になりますかね。

どこかで小学生が霜柱を見て名乗りをあげ、技を編み出してるかもしれませんね。

11/27/2025, 12:49:12 PM

心の深呼吸(オリジナル)

それを見た瞬間、心臓が跳ね上がった。
手が震える。
血の気が引いて、クラクラした。
頭は混乱していたが、懸命に自分に言い聞かせた。

落ち着け。
冷静になって考えよう。
深呼吸だ。深呼吸。

先月からの事を思い出せ。
カレンダーを確認しよう。
そうだ、メールに履歴が残っているかもしれない。
ネットの各ページにも形跡が残っているだろう。
もしかしたら随分前の出来事か?
それが今頃?
間違えて変なところに情報入れた?
なりすまし?乗っ取り?
フィッシング詐欺?
犯罪に巻き込まれていたらどうしよう。
警察かな。
犯人つかまえてくれるかな。

…………。

一つずつ冷静に着実に精査した結果、
鼓動は落ち着きを取り戻した。

[クレジット請求額15万円]

請求明細の全てに、身に覚えがあった。
購入予約含め今月に請求が集中したようである。

頬をつねってみたけれど、痛いので夢じゃなかった。
残念。

11/26/2025, 1:22:17 PM

時を繋ぐ糸(オリジナル)(異世界ファンタジー)

宿の部屋で一人頬杖をつきながら、ラッツはぼんやり考えていた。
昔の仲間が亡くなって10年。旅の仲間はもう作らないと自分に誓って、確かにこれまで誰とも一緒に旅をしてこなかった。
それがどうだ。
少し前に滞在した城塞国家で、監視という名目でついてくる事になった男がいる。
実は国の秘密を知ってしまった彼を追放する意味での厄介払いだったんじゃないかと思っているのだが、クソ真面目な彼は王を信じてひたすらついてくる。
そしてもうひとり。
この旅が始まるきっかけの出来事のすぐ後に偶然出会い、互いに少し助け合っただけの獣人がいる。
旅の目的はお互い違うのだが、情報収集が必要なことと、向かう方角が一致していた。
互いに異なる村や町を訪れ、その次の街で合流し、情報交換すれば効率的だ、という話になり、数ヶ月おきに先々の街で合流しているのだが。
これが案外楽しかったりするのだ。

どちらかの目的が達成されれば終わり。
どちらかの進路が変更になる情報が出れば終わり。
どちらかがペースを大幅に変えてしまえば終わり。
どちらかが命を落とせば終わり。
ただの口約束なので、いつでもやめられる。

互いに目的達成が最優先であり、このままの時間が続けば良いなどとは微塵も思っていない。
しかし、この見えない何かで繋がっているという感覚が、なんとなく心地よい。

未来の事はわからないけれど、細々とでも続いていくと楽しそうだな、などと夢想するラッツであった。

11/25/2025, 12:38:23 PM

落ち葉の道(914.6)

四季があり、落葉樹のある場所でしか味わえないものがある。

落ち葉の道。

当然、砂漠にはないし、常に氷に覆われているような極寒の地にもない。
木々が生えるのに適さない火山や大理石の山々にもないし、常緑樹ばかりの場所にもない。

落ち葉がなければ、腐葉土を踏みしめるフカフカという感触を味わう事もないし、枯れた葉と土の混ざったにおいを嗅ぐこともないし、紅葉に感動する事もなければ、掃除に困ることもない。

逆もしかり。
その場所でしか味わえない感覚や気づきがある。
己が「普通」だと思っている経験が、よそでは全く普通ではないという事は、沢山あるはずだ。

ネットで検索すれば何でも画像で見られるし、安易に色々知る事ができる時代だけれど、生の経験や感覚は大事にしていきたいと思う。

11/24/2025, 2:06:23 PM

君が隠した鍵(オリジナル)

side女

彼氏の自宅でのこと。
彼がシャワーを浴びている今がチャンスだった。
最近ちょっと言動がおかしい。
浮気を疑っていた。

彼氏と言っていいものか。
金持ちが集まる街コンで出会った人だった。
10歳年上で、大人しくて面白みのかけらも無い人。
しかし、お金があるのは本当で、ここもタワマンだ。
正直、お金目当て。
パパ活、援助交際だと思っている。
とはいえ、あんなに冴えない男なのに、こんな若くて可愛い自分以外にもお金を使われていたら不愉快だし、プライドも傷つく。

家中のタンスや机の引き出しを物色していたら、仕事部屋だろうか、モニターのたくさん設置してある部屋の机の引き出しから、可愛いキーホルダーのついた、家の鍵らしき物を発見した。

私だって合鍵を渡してはいないのに。

一瞬で怒りで頭が真っ白になった。
自分が鍵を渡していないのは、別れる時に押しかけられたら困るからであり、自宅の場所も教えていない。
しかし、それはそれ、これはこれである。

彼を問い詰めるため、鍵についていたキーホルダーを外して、鍵のみタンスの後ろに捨ててやった。

シャワーから出てきたら問い詰めてやる。


side男

シャワー室から出てくると、リビングで彼女が仁王立ちして待ちかまえていた。

「どうしたの?」
「これ!」

彼女が手を突き出して見せてきたのは、鍵につけていたはずのキーホルダーだった。
家探ししたのか。
少なからず動揺する。

「誰!」
「………」
「私以外に誰と付き合ってるの?!誰と合鍵交換なんてしてるの?!この家の鍵も誰かにあげてるの!?」

彼女は顔を真っ赤にして怒っている。
僕は口元に手をやって、漏れそうになる笑いを噛み殺した。

彼女が自分のことをキモい男とSNSに投稿しているのを知っている。
お金目当てで近づいて、ちょっと親切にしてやったら食いついて、マジチョロい。大金を貢がせてやると呟いていたのを知っている。
僕の前で健気な可愛げのある女子を演じているのを知っている。
貢いでもらうために見え透いた嘘をついて媚びているのを知っている。
なぜならその都度SNSで成功したと呟いているのを見ているから。
彼女のアカウントを僕が知っている事を、彼女は知らない。

「私とどっちが大事なわけ?私とは遊びなの?白状しないと、鍵の場所教えてあげないわよ!」

彼女はまくしたてる。
僕は薄っすら笑って困り顔。

だって、彼女が隠した鍵は、僕がこっそり作った彼女の家の合鍵だから。
まぁ、また作れるから良いんだけどね。

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