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君が隠した鍵(オリジナル)

side女

彼氏の自宅でのこと。
彼がシャワーを浴びている今がチャンスだった。
最近ちょっと言動がおかしい。
浮気を疑っていた。

彼氏と言っていいものか。
金持ちが集まる街コンで出会った人だった。
10歳年上で、大人しくて面白みのかけらも無い人。
しかし、お金があるのは本当で、ここもタワマンだ。
正直、お金目当て。
パパ活、援助交際だと思っている。
とはいえ、あんなに冴えない男なのに、こんな若くて可愛い自分以外にもお金を使われていたら不愉快だし、プライドも傷つく。

家中のタンスや机の引き出しを物色していたら、仕事部屋だろうか、モニターのたくさん設置してある部屋の机の引き出しから、可愛いキーホルダーのついた、家の鍵らしき物を発見した。

私だって合鍵を渡してはいないのに。

一瞬で怒りで頭が真っ白になった。
自分が鍵を渡していないのは、別れる時に押しかけられたら困るからであり、自宅の場所も教えていない。
しかし、それはそれ、これはこれである。

彼を問い詰めるため、鍵についていたキーホルダーを外して、鍵のみタンスの後ろに捨ててやった。

シャワーから出てきたら問い詰めてやる。


side男

シャワー室から出てくると、リビングで彼女が仁王立ちして待ちかまえていた。

「どうしたの?」
「これ!」

彼女が手を突き出して見せてきたのは、鍵につけていたはずのキーホルダーだった。
家探ししたのか。
少なからず動揺する。

「誰!」
「………」
「私以外に誰と付き合ってるの?!誰と合鍵交換なんてしてるの?!この家の鍵も誰かにあげてるの!?」

彼女は顔を真っ赤にして怒っている。
僕は口元に手をやって、漏れそうになる笑いを噛み殺した。

彼女が自分のことをキモい男とSNSに投稿しているのを知っている。
お金目当てで近づいて、ちょっと親切にしてやったら食いついて、マジチョロい。大金を貢がせてやると呟いていたのを知っている。
僕の前で健気な可愛げのある女子を演じているのを知っている。
貢いでもらうために見え透いた嘘をついて媚びているのを知っている。
なぜならその都度SNSで成功したと呟いているのを見ているから。
彼女のアカウントを僕が知っている事を、彼女は知らない。

「私とどっちが大事なわけ?私とは遊びなの?白状しないと、鍵の場所教えてあげないわよ!」

彼女はまくしたてる。
僕は薄っすら笑って困り顔。

だって、彼女が隠した鍵は、僕がこっそり作った彼女の家の合鍵だから。
まぁ、また作れるから良いんだけどね。

11/24/2025, 2:06:23 PM