無色とは何色か。
まずそこから話を始めなくちゃならないのかも。
無色を「色がない」とするのなら、まずそれに名前をつけるのはどういうことだろう。
ビーカーの中の精製水は無色と言うけど、
よくよく考えれば、そこにはその先の色があって。
無色って、実はいろんな色の集まりなのかもしれない。
それって、まるで世界みたいだよね。
八重九重も、一重に散りゆく今日
「遠くの空へ」
飛ぶ鳥は何処に行くのやら
あの遠い、遠いあの空までだろうか
輝く山々を越えて、
生命の川を辿り、
生まれた所へと還りゆく
鳥よ
その遠い空へと向かうついでに、
私をどうかあの町まで連れて行っておくれ
私の生まれたあの町まで。
夜空には汽車が走っている。
そう教えてくれたのは屍だった。
月の光がはらはらと降っている夜空には、名状し難い麗音を奏でる汽車が、あの星々を走っているのだと。
星々の声がさざめく中、がたりごとりと天を揺らす、かの線路……それはなんと美しいことだろう。
あの汽車が走る夜には、そらは揺籠に変わりゆくのだ。
月も寝静まる夜ならば、天を仰いでみるがいい。
赤子のように、大いなるそらを見つめてみるがいい。
人びとには、辿り還るべき夜がある。
それについて、我々は語るべきではない。
赤子はただ、その心を天へと流すべきである。
きっと瞳を下ろせば、あの子守唄が聴こえるだろう。
哀しい星々の嗚咽は、それはまるで致死量の音楽の様で。憧れにも似た、一条の光を見せてくれるのだ。
桜の花弁は、思い出の一ひらにも舞い落ちる。
四月、
たなびく雲のように、刻々と進む足音たち。
春爛漫の、この良き日。
桜ひとひら舞わせゆく。
こんなに晴れたお天気の日には、思い出にしっとり重なった、この花弁たちを乾かそう。
そしていっぱいに溜まったら、この両手でぱらぱらと砕いて、さらさらの粉にしてしまおう。
ほのかな甘さを身に纏い、きらきらひかる、思い出の色。
白い肌に、ほんのり色づいた桃色に。
この小さな花びらに、そっと口づけをして、はらりとあの川へと流しに向かおう。
すでに済ませた別れの言葉に、これもまた縁と頭をさげて。
かわいらしい郷愁を見送って、さてさてと桜舞う小道を歩いていくのだ。
春は、いつ何時も懐かしき季節である。