迎えられましたか?
「良いお年を」
個人的には泣きたくなるほど大変な事もなかったし、飛び上がるほど嬉しい事もなかった。
可もなく不可もなく。
来年はもう少し精神的にも体力的にも経済的にもゆとりがあるといいなと思う。
※1年間読んで下さった皆様ありがとうございました。
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「1年間を振り返る」
ヘタ側から剥くか、お尻側から剥くか。
白い筋(アルベドと言うらしい)を取るか取らないか。
静岡か、愛媛か、三重か、和歌山か、熊本か。
冷凍か、常温か。
みかんとオレンジどっちが好き?
皮はどうする?
みかん一つ取ってもこれだけ議論の余地がある。
ちなみに私は白い筋が苦手だから取る派。
END
「みかん」
冬休みは年末年始と重なるから、夏休みに比べて忙しない感じがする。
掃除、お正月の準備、不用品の片付け。
どれも夏休みにはやらない事ばかり。
せっかくまとまった休みがとれたのに、 なんだか勿体ない。
END
「冬休み」
痒くなるから手ぶくろはしないと言ったら、えー、と唇を尖らせた。
「なんでよ」
「こっちがなんでよ」
「手ぶくろしたらいいじゃん。あったかいよ」
「毛糸とか、痒くなるんだよ俺」
「でも寒いんでしょ?」
「寒いよ」
だからポケットに手を突っ込んでる。
「あ! これは? 毛糸じゃないよ。レザー。かっこいいじゃん」
「痒くなるのも蒸れるのも嫌いだからいらね」
「もー」
「お前はしてるんだからいいじゃん。寒いのは俺だけなんだし」
そう言うと、アイツはレザーの手ぶくろを棚からぶんどるようにして突然レジに向かう。
会計したその場でタグを外して貰い、俺の元に戻ってくる。
「デートが終わるまででいいから、つけてて」
無理矢理つけさせられた手ぶくろは、少しきつかった。
降り出した雪の中、手を繋ぐ。
俺のレザーの手ぶくろと、アイツの毛糸の手ぶくろが重なる感触は、いつもと違ってなんだか変な感じがした。
駅が近付く。デートはもうすぐ終わる。
ぶっちゃけ痒くて、汗で蒸れる感じがして、今すぐ手ぶくろを脱ぎ捨てたい。
でも、俺が手ぶくろをした途端アイツがやたら上機嫌になったから、あと少しだけ我慢する。
「ありがとね、手ぶくろしてくれて。もう外していいよ」
待ち兼ねた、というように少し乱暴に引き抜くと――
やけに恍惚とした顔をしたアイツがいた。
END
「手ぶくろ」