束の間の「束」は指四本分くらいとか、こぶし一つ分くらいの長さらしい。分かりやすく言うなら約八センチくらいだそうだ。
確かに短い。
仕事中ならちょっと水分補給をするぐらいの時間しか無い。
それでも食べていくためには働かないとなぁ。
END
「束の間の休息」
力を込めて
祈りを込めて
怒りを込めて
気持ちを込めて
心を込めて
「入れて」より「込めて」の方がより強い意志や感情があるような気がする。
力を込めた演説は人の心を揺さぶるけれど、こちらの心を揺さぶったのならそれだけの何かを成し遂げて欲しい。
そう思うのは私だけじゃないと思う。
END
「力を込めて」
後悔もある。喜びもある。
戻りたいと思ったことは何度でも。
もしも戻ってしまえたら、今まで積み重ねた私はどこに行ってしまうのだろう?
無かった事になって、積み上げた物も想いもリセットされたら、今までの私は綺麗すっかり消えてしまう。
それは嫌だなと、ぼんやり思った。
END
「過ぎた日を想う」
父は自分の星座を知らない。
母は自分の星座の神話を知らない。
こういう話をする時、大体は前提として「知っている 」と思っているから、「知らん」と言われると面食らって、どう説明したらいいのかと迷ってしまう。
そう言えば、山羊座の山羊の下半身が魚になってる事も母は知らなかった。
神話や物語って、相手がどれだけ親しんでるか分からないと上手く会話を広げられない。
だからこそ、お互い同じように親しんでいて話が弾む相手が見つかると嬉しいんだな。
ちなみに私はへびつかい座(笑)。
END
「星座」
誘われて、手を取って、舞台の中央へ。
自惚れて、浮かれて、有頂天になって、優雅にターンした時は夢みたいだと思っていた。
気が付けば貴方は私の手を離して、他の誰かと、華やかで綺麗なヒロインと踊ってる。
私はいつの間にか舞台の端で、くるくるくるくる。
誰も見ていないのにピルエットをやっている。
やがて踊り疲れて膝をつけば、ガクンと床が大きく割れて、私はあわれ奈落の底へ。
真っ暗な闇の中、私は四角い光を見上げる。
痛くて、苦しくて、声が出ない。――でも。
後悔なんかしていない。
私ほど貴方の為に踊らされた者はいないだろう。
私ほど貴方を引き立たせた者はいないだろう。
モブが一人消えたところで、舞台は終わらない。
拍手喝采、カーテンコール。
公演は大成功、貴方はこれからも光の中を歩くのだろう。
あぁ、不粋な足音が聞こえる。怒号に罵声、響くサイレン。足音が近付いてくる。滲んだ視界に貴方が見える。
「××××!!」
貴方が初めて私の名を呼ぶ。
――モブの終わり方にしては、ドラマチックな方じゃない?
END
「踊りませんか?」