せつか

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6/11/2024, 1:04:39 PM

街と町。
〝街〟の方が都会的なイメージがする。
そしてそれは正しいらしい。
賑やかで、高層ビルが立ち並んで、人や車が行き交う。それが〝街〟。
〝町〟はそれよりちょっと田舎、という感じ。
田畑もあって、商店街も少し古い感じ。

漢字が違うと受ける感じが違う。
まちとまち。
かんじとかんじ。
同じ音なのに字が違うとこんなに色々違って見える。
不思議。

END


「街」

6/10/2024, 2:54:45 PM

やりたいこととやれることの間にだいぶ隔たりがある。昔はちょっと我慢してお金を貯めれば何とか出来たこともあった。
でも今は、「何かやりたい!」と思ってもそこで「待てよ」と止まってしまう。
お金の事、距離の事、手続きの煩雑化·····。
やりたいことがあるなら我慢しないでやった方がいい。それはよく言われることだし、やれるならやりたいことは山ほどあるんだけれど、最近は〝勢い〟というものが無くなってきた。

でも、このまま悶々として死ぬのは嫌だから今度『やりたいことリスト』を作ろう。

END


「やりたいこと」

6/9/2024, 2:10:56 PM

うとうとと微睡んでいる時の、ふわふわした感覚。
頬がぽかぽかと暖かくなって、閉じた瞼がじんわりと熱くなる。

それでもまだ布団の中でもぞもぞしていると、被っていた布団ごと抱き締められた。
「おはようございます」
柔らかい声が鼓膜をくすぐる。
小鳥の囀りよりも心地よい彼の声。
「朝ですよ」
――知ってる。
それでもまだ布団を被ったままでいると、流石に暑くなってくる。
布団や、太陽の光だけが理由じゃない。
「さあ起きて。朝食を食べに行きましょう」
彼の体温が高いからだ。
「今日のメニューは?」
布団をかぶったまま聞くと、ぐい、とその布団ごと起こされた。
「トーストとスクランブルエッグ、マフィンとポテサラ、どっちにします?」
「どっちも食べたいから交換しよう」
「いいですよ。さ、ちゃんと起きて」
立ち上がった彼が布団を剥ぎ取り、カーテンを開く。
途端に眩しい光が部屋を照らし、私は開きかけていた目をまた閉じてしまう。
「今日もいい天気ですよ」
再び開けた目に、笑う彼の金髪が朝日に照らされているのが見える。

相変わらず朝は苦手だ。
けれど、彼に起こされるのは大好きだ。

END


「朝日の温もり」

6/9/2024, 12:06:44 AM

多分あそこだろうとか、あの時の言葉だろうとか、振り返ればここが岐路だった、というのはある。

でもぶっちゃけ、後から分かっても仕方ないと思う。
ここが人生の岐路だよ、ここで選択肢を間違えるとこれから大変だよ、というのが分かればいいのに。

いつもいつも、選択肢を間違えた気がする。

END


「岐路」

6/7/2024, 3:04:41 PM

世界が終わるその時、なんて。
「どうなるか分かんないよね」
ソファにもたれてそう言った彼女の声に、悲愴感は無かった。
「そもそも世界の終わりなんて」
「ぼんやりし過ぎてなあ」
戦争が起こるとか、隕石が落ちるとか、超巨大台風が来るとかなら、どこかへ逃げるとか対策のしようがあるかもしれない。
目に見える〝世界の終わり〟は、世界中の学者が色々予測していて、その生々しい数値やシミュレーションした映像で恐怖を煽られながらも、私達はなんとなく覚悟を決められそうな気がする。
「本当に怖いのは、さ」
ソファにもたれた彼女はそう言って両手を組むと、ぐーっと伸びをする。
「突然訪れる〝個人的な世界の終わり〟だよね」

ガクン。
不意に力が入らなくなって、私はその場に膝をつく。
喉が焼けるように痛い。
指先が震えている。
目の前にこぼれたワインが広がっている。あぁ、拭かないと·····。

「ごめんねえ。最後に見るのがこんなろくでもない女の笑顔で」
大きく開いた口。私の大好きな、どこか歪な彼女の笑顔。黒い瞳は爛々と輝き、もがく私を見下ろしている。
――ごめんなんて、言わなくていい。
薄れゆく意識の中、声にならない声でそう呟く。
「貴方といて楽しかったけど、やっぱり私は変われなかった。ろくでなしのままだったよ」
――分かってる。だって。
私はそんな、ろくでもない狂った彼女が好きだった。


END


「世界の終わりに君と」

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