せつか

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3/10/2024, 2:37:06 PM

愛と平和を掲げて戦う正義の味方。
その手段はだいたい暴力。

愛と平和の為に戦う〇〇仮面に、父親であるモブ戦闘員Aを殺されたB少年は、秘密結社の託児所でそれを聞かされて〇〇仮面への憎悪を募らせていくのだろう。

あぁ、なんだ。
これって、現実の戦争と一緒だ。


END


「愛と平和」

3/9/2024, 11:30:06 AM

過去に戻ってやり直したいことは山ほどある。
小学生の頃、運動会で恥ずかしい失敗をしてめちゃくちゃ泣いた。
中学生、いじめられててまともに口も聞けなかった。
就職の面接、馬鹿な失敗ばっかりして軒並み落ちた。

過去に戻ってこれらの失敗を無かった事に出来たら、私の人生は違っていただろう。
家を出て、正社員になって、結婚していたかもしれない。ある程度貯金もあって、〝普通〟の幸せを手にしていたかもしれない。

でもそれは、果たしてワタシと言えるのだろうか?

過ぎ去った日々は戻らない。
過去の失敗も、時々あった成功も、それら全ての積み重ねが今のワタシであるのなら、やり直したらワタシでなくなってしまうのだろう。

過ぎ去った日々は戻らない。
後悔しながら、懐かしみながら生きる事こそが人生なのかな、と思ったりする。


END

「過ぎ去った日々」

3/8/2024, 12:12:26 PM

お金より大事なものは多分、ある。
でもそのお金より大事なものを守る為には、結局お金がいる。

例えば健康。それを維持する為に通院するとか、薬を買うとか、お金がいる。
例えば友情。友達と遊びに行くにも、共通の趣味を楽しむ為にもお金はいる。勿論、お金が無くても友情が成立するのは言わずもがな、なのだが。
例えば知識。本を買う、学校に行く、講義を受ける。どれもタダでは出来ない。
例えば推し。推しを追いかけるなんて、それこそお金かあった方がより充実する。
例えば礼儀。衣食足りて礼節を知る、という言葉がある。衣食を不足させない為には、やっぱりお金だ。

まったくお金を必要としない生き方が出来る世界は、多分ある。
でもこの国で生きている限り、お金は一番では無いけれどかなり上位の〝大事なもの〟だ。

そんなこんなで今月はギリギリで、カツカツで、毎日財布を開けてはため息をついている。

END


「お金より大事なもの」

3/7/2024, 3:47:57 PM

やぁ、いい月夜だね。
相変わらず難しい顔してるなぁ。眉間の皺、取れなくなっちゃうよ?
ん? なぜ私がいるのかって?
私はどこにでもいるし、どこにもいないのさ。
それがたとえ君しか知らないような場所でもね。
君にとってここはとても大切な場所なんだということも、もちろん知っているよ。

君はここで彼女と逢瀬を重ね、涙を拭い、心を通わせた。月明かりの下、口づけを交わしながら罪を重ね続けた。誰にも知られることの無い、密やかな恋だった。
でもね、月は見ていたんだ。そして、私も·····。
あぁ、そんな顔しない。
だって私は見えてしまうんだから、仕方ないんだよ。

この冷たい月の下で、君達の罪を、彼女の孤独を、私は笑いながら傍観していた。·····うん、見ているだけしか出来なかったんだよ。

それにしても見事な月だ。
あぁ、君は月がよく似合うね。
美しい男。誰よりも強い男。理想と謳われた男――。
こんな素敵な夜に君とこうして話が出来るとはね。長生きはしてみるものだなぁ。

そうだ、今夜の記念に花を贈ろう。
君にふさわしい花があるんだ。
今度はその花が咲き乱れる場所で会いたいものだね。

え? 相変わらず言ってる事が滅茶苦茶だって?
あははっ、そうかもね。
さて、そろそろ時間だ。帰ろうかな。
君もそろそろ帰った方がいい。
あまり長く月の下にいると·····。


◆◆◆

目覚めた男の傍らには、白くしっとりした花弁を持つ大輪の花があった。
甘い香りがする。
この花から香るのだと気付いた男は白い花をそっと持ち上げて、自身の鼻に近付ける。儚い雰囲気の花に似合わない、官能的な香りだった。
「·····」
くらりと、軽い酩酊を感じた。

どこかで誰かが、忍び笑いを漏らしたような気がした。


END


「月夜」

3/6/2024, 2:52:53 PM

漫画や小説なんかのフィクションの世界で、それは劇的に、美しく、感動的に描かれる。
現実でも有り得るのだろう。ニュースで時々そういう〝奇跡の実話〟みたいな話は見るし、それを見て感動する気持ちはある。家族や友人、または同じコミュニティの者同士の深い繋がりを感じさせる話を見聞きして、「いいな」と思う気持ちはある。

けれど実感が無い。

それは感じる必要が無いほど人生で深刻な事態に陥ったことが無いからか、それとも·····そういう感情がそもそも欠落しているからか。

いつか、私も誰かとの絆を感じる日が来るのだろうか。

END


「絆」

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