椅子が揺れる音もなく
黒板には昨日の筆跡だけが残る
窓の外、風がカーテンを撫で
木々の葉がそっと揺れる
足跡のない廊下
机の上に置き忘れたノート
誰もいないのに、まだ
昨日の笑い声が残っているようで
光が差し込む午前の空間
空気は静かで、冷たくて
でもどこか優しい
ここには時間が止まっている
窓辺の影に、ひとりの記憶が揺れる
誰もいない教室
でも、確かに生きていた
私たちの痕跡が、まだここにある
赤に止まるたび
君と肩が触れそうで 触れなくて
沈黙の中 胸だけが騒いでいた
青に変わると 並んで歩けるのに
どちらも言葉を渡せなくて
足音だけが 同じリズムを刻んでいた
黄色の灯りに追われるように
小さな勇気も 置き去りにしてしまう
もし君も同じ気持ちなら
今すぐにでも 立ち止まりたいのに
信号が色を変えるたび
行き先を選ぶように
私たちの心も
ただ迷い続けている
あなたの隣で笑う彼女を見た瞬間
胸の奥がきしんだ
振られたあの日
「大丈夫」なんて思ったのは嘘だった
忘れられるなんて ただの強がりだった
交わらない視線
すれ違う声
それでも心はまだ
あなたを追いかけてしまう
もし あの言葉が本物だったなら
もし あの時 違う答えをくれていたなら
未来は変わっていたのかな
何度も飲み込んだはずなのに
こみ上げてくるたったひとこと
――嫌だ。
放課後の校庭で
君を遠くから見るだけ
笑顔ひとつで心が揺れる
でも言えない、まだ言えない
教科書の隙間に
そっと書いた名前
誰にも見せられないけど
胸の中ではいつも君といる
放課後の風が
髪を揺らして通り過ぎる
秘密のままの恋だけど
それが今は、宝物
期末テストが終わったのが幸福
春
桜の下で交わした言葉
やがて散る花びらのように
君との約束は空へ溶け
静かにページは閉じられた
夏
蝉時雨に包まれながら
残された想いは熱を帯び
眩しい陽射しの向こうに
君の影を探していた
秋
落ち葉が舞い 道を覆い
すれ違う風に 名前を呼ぶ
赤く染まる夕空に
未練の色がにじんでいた
冬
白い吐息に隠された言葉
届かぬ想いは雪に埋もれ
それでも灯る街の光が
君との未来を示していた
そして一年の物語を閉じ
私は次のページをめくる
そこには再会の春が
新たな始まりを描いていた