「にーたんこれなにー?」
「これはオオイヌノフグリだよ」
「にーたんこれはー?」
「これはシロツメクサ」
色んなものに興味津々な妹は、ガラス玉のような目をキラキラさせて僕に質問してくる。
小さな足でひょこひょこと僕のあとをついてくるのは、少し鬱陶しい時もあるけど可愛らしい。
こうやって僕を必死で追いかけてくれるのは少しの間だけなんだろうなと考えると、今の時間を大切にしようと思った。
お題:澄んだ瞳
明日は全国的に大雨、雷が発生し、嵐となるでしょう。テレビから天気予報士がそう告げた。
「嵐かー...。どうせ暴風警報が出ない限り、出社なんだよなぁ。いいよなぁ小中学生は。なにか警報出りゃ休みになんだから」
そう呟きながら、俺は明日の支度をする。レインコートと、タオルと、念の為着替えと...自転車通勤だから持っていくものが余計に増える。こういう時に車もってりゃなぁと、免許すら持っていない自分を恨んだ。
「さて、用意も済んだし、寝るとしますか」
朝から大荒れじゃないことを祈りながら、布団に入った。
翌日
ザァァァァゴロゴロピシャァァァン!!!!
「...............」
バケツをひっくりかえしたような雨に、けたたましく鳴り響く雷鳴。もう気分が萎えた、出社したくない。どう言い訳して休もうか思考を巡らせたが、一向に思いつかなかった。
「行くしかないか......」
俺は仕方なく朝の支度をし、腹を括りきれないままものすごく思い足取りで、自転車に股がった。
お題:嵐が来ようとも
ヒュードンドンドン。花火の音が鳴り響く。むせ返る火薬の匂い。
「他に好きな人ができた。別れてくれないか」
大きな音と共に、私の夏は終わった。
大きくて綺麗な花が、今日だけは醜く感じた。
お題:お祭り
私には、霊とかそういう類のものが見えるらしい。
ある日、神様と名乗る人物が私の前に舞い降りてきて、こう言った。
「貴女は人のために尽くしなさい」
何故かこの言葉は無碍にはしてはいけない気がして、私は全力で人のために尽くそうと思った。
看護師の資格や介護士の資格、とりあえず人の役に立ちそうな資格を全て取り、必死で人のために働いた。
定年で退職してからも、小学校の読み聞かせなどのボランティアにも参加した。
しわくちゃのおばあちゃんになってからも必死に―――
「あら?ここはどこかしら?」
空が青い。地面のようなものは雲かしら。フワフワしているわね。
そう考えているうちに、あぁ、遂に私は死んだのだと悟った。
「ようやく会えたね。待っていたよ」
声がする方向を向いてみると、ずぅっと昔に神様と名乗った人物がいた。神様のことをよく見てみると、思わず涙がこぼれおちてしまった。 だって神様は、交通事故でなくなった、私が若い頃に愛した人だったから。
「私も会いたかったわ」
私は神様のことを強く、強く抱き締めた。
お題:神様が舞い降りてきて、こう言った
誰かのためになるならば、僕は自分に嘘をつく
「先帰るから掃除代わっといて〜」
「うん」
「ちょっと昼ごはん買ってきて、もちろん君のお金でね」
「うん」
「私この映画見たいんだー、付き合ってよ」
「うん」
誰かのためになるならば、僕は自分に嘘をつく
お題:誰かのためになるならば