キャンドル
ゆらゆら揺れるキャンドルの炎を見つめて、彼女がふっとつぶやいた。
「命ってこの炎みたいよね。熱くって、キラキラして、
すぐに吹き消されそうなのに、しぶとくて。結局キャンドルが溶けきってしまったときに消えるんだわ」
目の前のキャンドルを吹き消して、まるで暗い話などしていなかったかのように
「もう寝ましょう」
と言って、彼女はベッドに横になってしまう。
僕は少しためらいながらも、彼女にならって横になる。
ときどき彼女がふいに暗いような話をするのには慣れている。それに意味がないって事も知っている。
ーそれでも、今回の話はなぜか僕の心に焼き付いて、
なかなか離れなかった。
とある夜の男女とキャンドルの話。
たくさんの思い出
古いアルバムの中に
たくさんの写真と思い出
ページをめくるたびに
あふれてくる隠れた記憶
笑い、泣き、それすら楽しい思い出
このアルバムが無くなっても
心の中にはたくさんの思い出
生きているかぎり、ちゃんとあるもの
冬になったら
ー冬になったら何をしようか?
ー雪がたくさん降って、積もって、そしたら雪合戦しよ
うよ!
ー雪うさぎや雪だるまも作ろう!ちょっと大きいけど、
かまくらも作れるかなぁ?
ーやっぱり、スキーでしょ!それとソリなら小さな丘で
もできるよ!
ーみんな元気だなぁ。少しはコタツでミカンとか、お鍋
とか、お雑煮とか食べ物のこと考えなよ。
冬になる前から、ウキウキワクワク!!
あなたの冬になったらしたいことは何ですか?
はなればなれ
引越しの前日、荷物の整理をしていると、床に小さな紙が落ちているのに気づいた。
四つに折りたたまれていて、僕はそれを見た記憶がなかった。ゴミ箱に捨てる前に、開いて見てみると、
『はなればなれになっても、ずっといっしょだよ』
と小さな子供が書いたような汚い字で書かれていた。
「ひっ?!」
ますます訳がわからなくなって、僕はその紙を放り投げてしまう。宙に浮かんだ紙は、ヒラヒラと落ちてきて、
その行方を腰が抜けた僕が目で追いかける。と、
ークローゼットの隙間から、僕を見つめる目と目が合っ
た。
子猫
やってきた頃よりも、大きく成長した黒の子猫。
猫らしく、夜行性で夜中にイタズラを仕掛け、僕の部屋はぐちゃぐちゃに荒されてしまう。
そんなところは大きくなっても、まだまだ子猫のままだなぁ、と感じてしまう。
部屋の片付けは僕の仕事だけど、子猫を叱るのは黒の成猫の仕事。
自分が連れてきたからなのか、責任感を感じるのか。
子猫がやりすぎたというタイミングで、猫パンチや甘噛みをして叱ってくれる。
子猫が大きくなって、いっそう賑やかになった僕たちの家族は、今も夜の8時、遅めの家族団欒が続いている。
前回の突然の君の訪問。の続編です。(みけねこ)