すれ違い
いつもの時間。いつもの通学路。いつもすれ違うあの人。
お互いの通う学校が違うし、この道はそれぞれの学校の通学路でもあるから、ここでしか会えないあの人。
あの人は背が高いから、周りの人に合わせようとして、いつも猫背になっているのかな?
大きいけど、鞄に教科書は入ってなさそう。勉強苦手なのかもしれないな。
ーあっ 目が合った!見てたこと気づいたかな?
「「おはよう」」
ーあっ 目が合った!見てたこと気づいたかな?
あの子はいつもおろした髪の下で、こっそりイヤホンをつけて音楽を聴いている。何を聴いているんだろう?
ときどき歌ってるところを見るから、よっぽど好きなのかな?あの楽しそうな顔が可愛いよな。
いつもの時間。いつもの通学路。いつもすれ違うあの子。
お互いの通う学校が違うし、この道はそれぞれの学校の通学路でもあるから、ここでしか会えないあの子。
上からも下からも読めます。(みけねこ)
秋晴れ
青く澄みわたった空を見上げる。
心なしか空が高くなったように感じた。
冷えた空気を胸いっぱいに吸い込むと秋の匂いがする。
「石焼ーき芋ー お芋ー」
味覚の秋、焼きイモの匂いに惹きつけられて。
赤トンボと一緒に、歩き出す。
忘れたくても忘れられない
ー長年片想いしていた人に告白する。
「好きです。僕とお付き合いしてください!」
「・・・ごめんなさい。私、もう付き合っている人がいるの」
僕の長年の片想いは、一瞬にして破られた。
ーあぁ〜 やっぱり忘れられないなぁ・・・
告白からの失恋の後、僕は家まで逃げ帰り、ベッドの上で部屋の天井を眺めていた。
あの人の笑顔、笑い声、ちょっとした仕草、髪型、しっかりしているようで、少しぬけてるところ。
忘れようとしても、脳裏に浮かぶのはあの人の姿。
ー忘れたくても忘れられないなんて・・・
辛い、苦しい、そんなモヤモヤした気持ちが後から後から溢れてくる。
ー馬鹿だなぁ 一番に思うのはあの人の幸せだろ
目から溢れるものを乱暴に拭いながら、苦笑する。
それから、僕の頭は思考停止して、ゆっくりと微睡の中に落ちていった。
やわらかな光
すっかり昇るのが遅くなった太陽が照らす、窓辺のカーテン。寒い季節だからと分厚いものに替えられ、夏までは強かった光もいくぶんかやわらかい。
ーシャッ
勢いよくカーテンを開ける。朝は窓辺が冷えるようになってきたからだ。
「・・・う〜ん」
モゾモゾと分厚い布団の中で、彼がみじろぎする。案外強い日の光と、朝の寒さに目が覚めたのだろう。
ーまったく、お寝坊さんなんだから・・・。
やわらかな光に包まれた、ベッドの上の彼にダイブする。ぐえっと彼が変な声を上げる。
「おはよう。寝坊助さん」
やさしい朝に、おはようを告げた。
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初めての作品 朝日の温もりの続編です。(みけねこ)
鋭い眼差し
猛禽類、特にトンビだ。私が鋭い眼差しだと思うのは。
彼らは何を思うのだろう?
その鋭い眼差しの先にある、ちっぽけな人間たち暮らしをどう感じているのだろう?
空をぐるぐる旋回する彼らを見て、私は勝手に考えた。