夜景
眠れなくて、窓の外をぼーっと見ていた。
町はいまだに明るくて、空の星を地上に持ってきたかのようだった。
それでも、空を見上げれば、町の明かりに負けないくらいのたくさんの星が輝いている。
それがあまりにも幻想的な景色だったものだから、早く寝ることにした。
明日は夜景の絵を描こう。そのためにも早く寝ようと思ったから。
前回の夜の海・海への続編です。三部作になりました。
(みけねこ)
花畑
俺の横で、君は器用に花をつんでは編むを繰り返す。
ここは俺と君以外誰もいない、だだっ広い原っぱだが、
この時期になると、一面綺麗な花畑になる。
君はこういう場所が好きそうだからと思って、ピクニックにやって来たはいいものの。
男の俺としては、周りに花があるだけでつまらない。
昼食を食べてからは、君が花輪を作るのを見ているだけだった。
たまらず、ゴロンと横になる。すぐに君が、草だらけになるよーと言う。はいはい、と聞き流しながら横を見ると。
「ね、いいもの見つけた。四葉のクローバーだよ」
君が作った花輪と俺が見つけた四葉のクローバー。
お土産を持って、花畑をあとにする。
空が泣く
長年の相棒、愛犬が天に旅立った。
あいつの墓を作ってやって、お供え用の花を買いに行って、いざ家に帰ろうってときに。
雨が降り始めた。
霧雨のような細かい雨粒がパラパラと降る。すぐに上がってしまいそうな雨だ。
こういう雨を涙雨と言うらしい。
「あいつのために空も泣いてくれるなんてね」
家に着く頃にはすっかり上がってしまった涙雨。
雲間から見える青空の向こう側で、あいつが元気に走り回っている気がした。
とある日の男と涙雨の話。
君からのLINE
友達にはなっているけど、普段あまり話さない君からのLINEが届く。
どんな内容なのかと少しワクワク、少しビクビク。
緊張しつつも、LINEを開いた。
命が燃え尽きるまで
ごめん。 先に謝っておく。
私の命はもう長くない。
あなたと一緒に年を重ねていくって約束は無理になっちゃった。
あなたには、私の命が燃え尽きるまで見守って欲しいの。
あなたの目の前から私はいなくなってしまうけど、私が生きていたって証拠を残して欲しい。
・・・ごめん、違った。
いざ死ぬって時に、最後まで一緒にいたいの。
私の一生のお願い 叶えてね。