冬は一緒に
冬になったらずっと一緒。
冬と言わず秋の終わり頃から一緒。
なんなら冬が終わっても春の初めまでも一緒。
色んなコと一緒にいる。
チェックの柄が可愛いくて少し薄手のあのコ。
ふわふわ暖か毛のあのコ。
もう何年も一緒で端っこが破れちゃってるけど、暖かさは1番だからずっと一緒のあのコ。
今日はお出かけだから奮発してデパートで買った、カシミヤ100%の首感触No. 1のあのコ。
どのコがいいなんて選べない。
寒さによって、気分によって。
今日はあのコ、明日はあのコ。
ずっと一緒。
私の可愛いマフラー。
とりとめもない話
今日は何をした?
仕事だったよ
そっか。じゃあそれ以外は?
それ以外だと、ここに来る前に少し仮眠をとったよ
仮眠か。寝ることはいいことだな!
そうだな
近況報告をしながら隣に座ってお話をして、会えなかった時間を満たすように寄り添いあう。
時折り膝に置いた手に指がつっと撫でられ、擽ったさに笑いが漏れる。心地よい空気に包まれて、とりとめもない話を時間のある限り続けていた。
風邪
幼い頃の記憶。
風邪を引いて学校を休むのにとてつもない背徳感を感じていた。
いまの時間はみんな授業を受けているんだ。そんな中、私はベッドで何もしないで寝ている。
体が動かないし、喉も痛いし、鼻も詰まって呼吸がしにくいのに、私のほうがずるしてるみたいなんて。
ヴェポラップを塗ったハンカチを首元に巻いて、水枕のなんともいえないゴム臭さを鼻が詰まった鼻が臭いを捉えてくる。
喉が渇いたなと水枕の横に置いた微温いポカリで喉を潤す。
大人になって思い出したら何にもよかったことはないけど、これからもずっと色褪せたりしない記憶なんだろうな。
雪を待つ
雪だるまを作って
かまくらも作りたい
それから、特大滑り台!
はやく雪よ来い
大寒波が訪れをいまかいまかと待つ
大きな子どもがテレビの前を陣取って天気予報を毎日欠かさず見てる背中を私がキッチンから呆れながら眺めた
テレビに夢中で窓の外からしんしんと降ってる雪にいつ気づくのだろう
気づいたら嬉しそうに雪だって声が響くのかな
かわいい人だこと
イルミネーション
色とりどりな光の球体が闇夜を照らして輝いている
冬の冷え切った空気に光の粒子が共鳴しているのかな
「綺麗だなあ」って呟きが知らずに漏れて、脚を止めて見入ってしまう
イルミネーションが輝く都会の街から離れて、街灯もない田舎道を寒々と歩く
下を向いていたら鼻水が出てきて慌てて顔を上げたら、闇夜にまた光が輝いていた
オリオン座がすぐに見つけられて、冬の大三角はどれだっけ?
なんて考えてしまった
何気ない冬の楽しみを見つけて、緩んだ頬を手袋の手で押さえて歩きだした