風のいたずら
いや、もうさ、これしか浮かばなかった
風のいたずらって
ラッキースケベしかないと思うのは私の感性がないからだよね
寒いと縮こまって歩いてると目の前には好きな子
今日も可愛いなって見てたら通り風
風でふわりと舞うスカート
見るつもりなんてこれっぽっちもないのに見えてしまった
慌ててスカートを押さえてきょろきょろと周りを確認する彼女とばっちり目線があっちゃった
見たなとじと目で睨まれて、誤解だと弁解するように追いかける
こんなラブコメしか浮かばないよね
透明な涙
音もなく流れ落ちる無色透明な雫。薄紅に色づく頬を伝い重力の力によってぽたぽたと落ちていく。光の屈折によって雫は煌めいている。
その光景を見てただ綺麗だなと思った。
なんで泣いているのだと問い詰めようとしたのを忘れて、彼女が泣く姿に魅入ってしまう。
だから嫌なんだ。彼女が泣く度に目が離せなくなるから。けして泣かせたいとは思っていないが、泣き顔は俺以外に見せないでほしい。
君の泣いた姿が好きだなんて言ったら怒られるだろう。今後一切泣き顔を見せてもらえなくなる。それは困るからできれば避けたい。
腕を伸ばしていつも通り素知らぬ顔をして涙を拭った。
嗚呼、なんてかわいい人なんだろう。
あたたかいね
あなたは私のことを子ども体温だって言う。失礼だと思う。基礎体温が高いと言ってほしいものだ。
冬の寒い日には人のことをカイロ代わりにして抱きしめるのはやめろって何回言えばわかるんだか。
こたつに入ってみかんを食べてる私の邪魔をするな。
「あたたかいね」
耳元で極上の甘い声で囁くのもやめろ。馬鹿みたいに鼓動が早くなるんだから。
ムカつく口に酸っぱいみかんを突っ込んでやった。
星のかけら
瓶の中で煌めく宇宙をみる
彩りの結晶が光を浴びて七色に色を変える
手のひらの上に星のかけらを広げたら
私だけの宇宙が広がった
ねえ、知ってる?星って甘いんだよ
Ring Ring…
一回、二回、三回……
あっ、出た
気づけばあなたが受話器越しに出るコール音を数えるようになっていた。
すぐに出た日は電話を待っていてくれたのかなとか、出るのが遅い日は忙しかったかな、もしくはお風呂だったかな、なんて考えてしまう。
メールでのやり取りは嫌いじゃないけど、やっぱりあなたの声が聞きたい。あなたの音色を聞くだけで疲れが吹っ飛ぶから。ちょっと大袈裟かな。でもどこかほっとして、肩の力が抜けていくのは本当のこと。
今日もまたあなたへと続くコール音を聞く。
ring ring……
一回、二回、三回……
もしもし?