おへやぐらし

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2/17/2024, 4:06:27 PM

僕のお気に入り
それは何よりもかけがえのないもの

温かな体温
柔らかな肌
甘い香りの髪
鮮やかな赤

だけど僕がお気に入りを
愛でられるのはほんの一瞬

それはだんだんと冷たくなって
色は変わり、異臭を放ち、腐敗して
やがては朽ち果てる

僕は新しいお気に入りを
探しに旅へ出た

お題「お気に入り」

2/11/2024, 12:00:08 PM

「この場所で何があったかご存知ですか?」

暗い山道の中、
車を走らせながらタクシーの運転手は聞いた。

「いいえ。何かあったんですか?」
「若い女性が殺されて、この辺りに捨てられたらしいですよ。怖いですね~あなたも美人だからくれぐれも気をつけてください」

そんな話を今しないでよ
不快感と恐怖で身体をこわばらせていると
運転手が途中で車を停めた。

「あの、どうしましたか?」

運転手はゆっくりと後ろを振り返ると
ニタリと笑った。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ため息をこぼしながら運転手は
フロントガラスに付いた汚れを掃除していた。
この場所を通る時はいつも以上に汚れる。

大量の手形を拭いていると、
一つだけどうしても取れないものがあった。
それは何度試しても落ちなかった。

お題「この場所で」

2/9/2024, 4:28:24 AM

突然ですが恋人ができました!
笑顔が素敵な美人で優しい女性です。

ある日彼女からこんなお願いをされました。
☺️「私の一族に会ってほしいな」
😧「一族?」

いきなり親戚の方々に紹介されるとは、
とても緊張しています。

彼女の故郷に着くと、
みなさん温かく出迎えてくれました。

- ̗̀ ようこそ ̖́-
( ͡ ͜ ͡ ) ( ͡ ͜ ͡ ) ( ͡ ͜ ͡ ) ( ͡ ͜ ͡ )

おめでとう( ͡ ͜ ͡ )
よかったね~( ͡ ͜ ͡ )
宴じゃ( ͡ ͜ ͡ )
☺️「みんなありがとう」

豪華で美味しい食事やお酒まで用意されて、
僕は身も心も酔いしれていました。

さて、そろそろ…( ͡ ͜ ͡ )
頃合いじゃ( ͡ ͜ ͡ )
儀式を始めるかの( ͡ ͜ ͡ )
😧「儀式?」

( ͡ ͜ ͡ ) ( ͡ ͜ ͡ ) ( ͡ ͜ ͡ ) ( ͡ ͜ ͡ )
( ͡ ͜ ͡ ) ?!😨🥰 💕︎ ( ͡ ͜ ͡ )
( ͡ ͜ ͡ ) ( ͡ ͜ ͡ ) ( ͡ ͜ ͡ ) ( ͡ ͜ ͡ )
いつの間にか一族のみんなに囲まれていました。

仲間が増えるね( ͡ ͜ ͡ )
めでたいね〜( ͡ ͜ ͡ )
宴じゃ( ͡ ͜ ͡ )

彼女にお面を渡されます。
それは笑顔のお面でした。

😨「これって大丈夫な奴だよね?」
🤭「うふふ」

お面を付けると、
僕の顔は( ͡ ͜ ͡ ) になっていました。

お題「スマイル」

2/7/2024, 4:26:40 PM

どこにも書けないこと
それは奴の名前

奴のことを考えてはいけない
強く意識するほど奴の存在感は増す

人が多いところは特に危険だ
人混みの中に奴は紛れている

会話をしていても相手の瞳の中に奴がいるから
他人と目もあわせられない

医者からは一過性のものだと言われてたが
奴が現れてからもう随分と経つ

どこにもいないとあなたは言うけれど
今あなたと話している最中も奴は隣にいる

どこにいても奴は存在する
見えない追跡者からずっと追われ続けているようだ

奴が見えるようになると
普通の生活には戻れなくなる

奴から解放されるためには
永遠の眠りしかないのだろうか

みんなもどうか気をつけてほしい

お題「どこにも書けないこと」

2/5/2024, 2:33:38 PM

物心ついたときから『心のコップ』が見えた
形も大きさも深さも人によってばらばらだ

朝から部長がイライラしている
部長のコップを見るとグツグツと赤い液体が
煮えたぎっていた

部長は機嫌が悪いと、物を投げたり
皆の前で怒鳴りつけたりする
今日は自分の番だった

「大丈夫?」
心配そうに声をかけてきてくれたのはBさん
いつも周りを気にかけてくれる人だ

Bさんのコップを見れば、
ふちすれすれまでに液体が溜まっている
翌日からBさんは職場に来なくなった

この職場は"いい人"からいなくなる
残っているのは相当タフな人か変わり者だけ
自分もその変わり者の一人だ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「大丈夫?」
目が覚めると心配そうにこちらを覗くCさんがいた
ズキズキする頭をおさえながら先程の事を思い出す

飲み会で部長に一気飲みを強要されて、
酒を煽った自分はそのまま意識を失ったらしい

介抱してくれたCさんに謝罪とお礼を述べると、
気にした様子もなくニコニコとしていた

自分はこの人が苦手だ
わかりやすい部長の方がマシだと思えるくらい

人懐こくて表情豊かで人気者のCさん
そのコップの中身はいつも空っぽだ

赤ん坊に犬や猫、鳥や魚にだって
多少なりとも感情の液体が入ってるのに、
この人の中にはそれがない

こちらに伸びてくる手を反射的に振り払ってしまう
見上げるとCさんは笑っていた

空っぽだったCさんのコップの底に
液体が溜まり、ついには溢れ出した

お題「溢れる気持ち」

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