テストで良い点が取れた!と幼馴染が嬉しそうに答案用紙を持ってくる。全部教えてくれたおかげだよ!とぴょこぴょこ跳ねて喜んで可愛らしい。
…といっても、赤点回避したくらいなのだが。
それで良い点って言えるのがなんだか君らしくて面白い。
今回赤点取ったら留年確定だ、卒業できないと嘆いていたのが嘘のように可愛らしくなって、周りが君に視線を向ける。それはあいつ赤点回避してる…みたいな顔だったり見惚れていたり。
俺のおかげで赤点回避したという誇らしさと、少しの嫉妬が入り混じってなんとも言えない気分だ。
「これで一緒に卒業できるし、同じ高校行けるね!」
なんて言われてしまえば、嫉妬なんて吹き飛んでしまう俺も単純だろうか。
33.『誇らしさ』
花火をしようと夜の海へ連れ出された。正直暗くてあまり夜の海は好きじゃない。
だけど楽しそうにはしゃぐ君がいると、なんだかこれもいいな、なんて思うのだ。
32.『夜の海』
今考えても自分何やってたんだろって思う、僕の話をひとつ。
僕はとある女子校に通っていた。その地域では所謂『お嬢様学校』みたいな扱いを受けるような、そんな学校。中身見たらそんなこともなく、おっさんみたいな女子が多かったけど。
そんな学校の、とあるテスト期間中のこと。
お昼前に終わって、何を思ったか僕は隣の市まで自転車に乗っていこうって思い立ったんだ。しかも一人で。
今思えば20kmくらいの距離があったような気も。それを急にやり始めたもんだからあの頃の勢いってすごいなって。
次の日も当たり前のようにテストだったんだけどね。
その帰りに雨に降られて風邪ひいたってのは今でも馬鹿だなと思える昔話だ。
31.『自転車に乗って』
寝て、起きて、おいしいごはんを食べる。
推し活したり、一人静かに過ごしたり。
それぞれ違えどみんな心を休めてる。
休みの日こそ好きなこと。
30.『心の健康』
ピアニストになる!なんて夢を語っていた手先が不器用な幼馴染。和音を奏でるのが苦手だとか、それよりも楽譜や記号が読めないとか、躓くことがとにかく多かった。
そんな子が、今やテレビの向こう側に立ち、世界中の人々を魅了している。あんなにそばにいたのに、今では簡単に触れられない場所に行ってしまった。
今でも君の奏でる音楽は、とっても下手くそで泣いていたあの頃と変わらずにきれいなんだ。
テレビを挟んだ向こう側で、僕はいつまでも君の音楽とともに応援し続けているから、忘れないでね。
29.『君の奏でる音楽』