私は基本文章を書く際、何にもイメージがないときには性別、年齢など様々な捉え方が出来るよう、一人称は「私」や「自分」などに統一している。これは私のそれらに囚われたくないという、少しの意地だ。毎日書くわけではない。思いつかないこともあるし、気分じゃないこともある。それでも文を綴り始めるときはその時の感情が文に多く影響するような気もする。ふと思いついた物語を自分の感情と共に文にする。毎日は書けないけれど、これは私の日記なようなものだ。少しずつ、書いていく。少しずつでもページが増えていくのが楽しいのだ。
#私の日記帳
強く私の腕を引く手に苛立ちを感じ、少し顔を顰める。静止の言葉など貴方の耳には入ってこないようで、腕の力はどんどん強まっている。何も語らず私を引きずるその様子に少し不気味さを感じ、人生で1番の大声で貴方の名前を呼び全身の力を精一杯込め抵抗した。初めて、貴方の動きが止まって私と向き合った。黙りこくって俯き、顔を背ける貴方の顔を手で強引に私に向かせる。その表情は泣きそうでいて、苦しそうで、それでいて。こうして向かい合わせにならないとお互いの感情も表に出せない私たちは、きっとこれからも何かとぶつかっていくのだろう。それでもこうして向かい合うことは、心を通じ合わせる私たちだけの手段なのだから。
#向かい合わせ
決して合わない視線。貴方の腕をすり抜ける私の手。貴方の中での私の存在はもう薄くなってしまっていることに気づき、軽く目眩がする。誰かが言っていた、好きの裏返しは嫌いではなく、無関心だと。本当にその通りなのかもしれない。あんなにも愛おしそうな表情をしていた貴方はどこへ行ったのか、その顔には何の感情も灯ってはいなかった。別れるその最後まで、貴方は私を見ていなかった。
#裏返し
今すぐ飛んでいきたい。どこか遠くの方へ。貴方がいないところなら、どこでもいい。これ以上貴方と一緒にいたらきっと困らせてしまうから。どこか遠くに旅をしに行こう。貴方のことを忘れてしまうくらいの速さで全てを放り去ってしまおう。貴方との記憶も貴方への想いも全て。全て捨てて羽ばたこう。それが私にできる唯一の償いなのだから。
#鳥のように
別れ際、君は涙を流した。その涙の意味が私には痛いほどわかっていたし、君もそれをわかっていたのだろう。涙を止めようと強く瞼を擦る君の手を抑え、目元をそっと拭う。ハッとするような大きな瞳と目が合う。私を見つめるその瞳を覆い隠すように私は君を抱きしめた。君がこれ以上不安にならないように、これ以上涙を流さないように。しばらくしてゆっくりと体を離した私は、別れの言葉を小さく呟いた。
#さよならを言う前に