お祭り
幼少期より、あまり、馴染みが、なく、今でも、好んで行く気にもならない
育った環境が、お祭りとの接点が、希薄であったのかもしれない
なんだか、損をしているのかもしれない
でも、オリンピックも、お祭りだ、
現地へ行かなくても、TV等で、結構、楽しめ、心熱くなったり、
やっぱり、お祭りは、楽しまなきゃ
神様が、舞い降りてきて、こう、言った
わたしを信じますか
いきなり言われても、でも、神様だから、信じます
えっ、いきなり、信ずるんだと神様は、やや、薄ら笑
い、しながら、こっちを見ている
まあ、こっちへ来なさい
信ずる者よ、良いものを授けよう、好きなものを取る
が、いい
神様、わたしには、何も、見えません
そうか、まだ、何も見えないのか
また、くるので、楽しみに待っていなさい
ホッホッホと言いながら、神様は、行ってしまわれた
誰かのためになるのなら
ずばり、働くこと
人が、動くこと
人が、重く、力をだすこと
それが、出来れば、
誰かのためになる
人は、知らないうちに
誰かのためになっている
特別に思わなくても
生きているだけで
充分
安心していい
鳥かご
幼い頃から、不思議に思っていた、母の実家へ行くと、いつも、ドキドキする所が、あった
母は、そこは、古くて、綺麗でないから、行っては、だめよ、と行く度に言っていた
今年から、小学校に入学するからと、挨拶に行った時、とうとう、その機会が、巡ってきた
ここは、明治になってから、建てられた、俗に言う洋館と呼ばれるもので、戦災等にも、あわずに今でも、綺麗な姿をしていると、子供心にも思っていた
祖父が、ニコニコした優しい顔で、おじいさまが、よく、どこそこの伯爵様や御令嬢が、よく、いらして、華やかなな、舞踏会が、行われていたと、よく聞かされたと、
いかにも、年代物と、思われる真鍮製の鍵で、鍵穴に入れようとした、瞬間、思わず、お母様が、駄目だと言っていたと口から、出てしまった
祖父は、やや、低い声で、もう、いいんだよと、その横顔は、寂しそうに見えた
ガチャリと言う音は、何故か、鳥肌が立ってしまった
吹き抜けの天井から、眩しい光が、斜めに差している
祖父のコツコツとした、革靴の音が、ホールに響く、大きなガラス窓の下まで行くと、花台のシーツをサーと取ると、キラキラとした金属製のものが、あった
それが、鳥かごだと知るのは、少し後になってからだ、ただ、美しい、そして、欲しいと、思った
そんな心を知ってかどうか、祖父は、また、ニコニコした優しい顔して、そら、どうぞ、と渡してくれた
私は、少々、戸惑った顔をしていると、後ろから、母のまあ、良い物を頂いたのねと明るい声で、救われた
大学生になり、ここに訪れた時、すっかり、様子が、変わり、大きなマンションが、無機質な佇まいを
あの時の宝物は、今では、我が家の娘の宝物になっている
朝から、爽やかな、音色が聴こえてくる毎日
花咲いて
お爺さん、お爺さん、起きて下さい
シロが、いつになく、大きな声で、鳴いている
とうとう、袖口まで、引っ張るようになった
どうした、お腹が空いているのか、少し待っておくれ、
お爺さんは、ふと、お婆さんが、居てくれたら、お前にも、ひもじい、思いをさせずにすんだのにと、少し目頭が、熱くなるのでした、
どっこらしょと、言いながら、お爺さんは、薄い布団を上げるのでした
シロが、待ってましたと、言わんばかりに、一目散に走り出しました
おい、シロ、待っておくれ、お爺さんは、腰にぶらさげた、少し擦り切れた、手拭いで、溢れる汗を拭いながら、だんだん、シロの姿が、小さくなっていくのが、少し不安な、気持ちになってきた
丘を越えた辺りで、シロが、少し、寂しげに鳴いている声が聞こえてきた
丘の上まで、戻って来て、尻尾を振っている、姿が見える
早く、おいでと言っているようだ
風が、ヒューと背中を押してくれる
鳥さんたちも心配そうにお爺さんの背中を見ながら、おしゃべりをしている
ようやく、丘の上に辿り着くと、
そこは、真っ赤な彼岸花が、辺り一面、咲き誇っていた
シロが、優しい声で、ここだよ、と、教えてくれた
お爺さんは、呆然と立ち尽くし、涙が、止まらなかった
慈悲深いお顔した、お婆さんが、微笑んでいた
シロが、天に向かって、閃光を放っていた
心地よい風が、いつまでも、良い香りとともに流れていた