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6/28/2025, 2:35:22 PM

乳の海のような、あなたの歌声がきこえる、午後の洗い物をしている背中に、輪郭だけがひかって、青い広いつぶての集まりにいつも風が吹くように
『夏の気配』

6/20/2025, 5:51:25 AM

低い丸まった背中で平面に引いていく線の上を、透明にぼやけては離れていくような、水滴が、まだ満ちていた空白をもうすぐ崩してしまうような、小さな期待をまた指先に込めながら
『雨の香り、涙の跡』

6/19/2025, 8:06:09 AM

ながら食べのような生き方で、懐かしいものばかりに砂糖をまぶして、きらきらしている朝の蜘蛛の網目の脆さに、目を閉じてひらく、辟易したような顔の猫を撫でながら
『糸』

6/1/2025, 4:12:07 PM

あなたの声がまだ耳に残っていて、愛してるとか、そんなことはべつに言っていないのに、いつだって私も、と言えるような、光の中にあなたはいつもいてほしいとか、そんなことを思っていること、眩しいなら傘の中でも良くて、おやすみ、とか言い交わして、まだ星の見えない空が、綺麗だと思えていることが、胸の中を今も温かく照らしていた
『雨上がり』

5/25/2025, 1:05:40 PM

ほんとうじゃなくてもいいよ、優しさなんてそんなもんじゃないか、大したものじゃないよと、言い切ってしまう弱さに、すくんでしびれた足を止めて見る花みたいに、何度も救われていたこと
『やさしい雨音』

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