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11/10/2025, 11:59:54 PM

青いカレンデュラ、古いみどりの黴まみれの木となめらかな木の器の隙間に横たえて、重さに耐えきれなくなりそうな頭をあなたはときどき静かに振る、眉間にはじっと深く刻まれている皺。
気高い、素晴らしい鉄の薪として、生きてきたのね、でも、ここに帰ってきてくれたのね
『寂しくて』

11/1/2025, 2:37:44 AM

灯した熱の照らす場所だけに身を寄せて、ゆっくりと崩れていく氷の粒の、息づく蒸気をふっとかき分けながら、火を吹く竜の背に乗って、あくびに混じって聞こえる微かな笑い声に、ページをめくる指が鈍く冷えていくのを忘れながら
『光と影』

10/17/2025, 3:41:31 AM

のんどりとした湿っぽい毛むくじゃらの白い大きないぬの、寝返りをうつような、足跡がそこらじゅう駆け回ってつかれたような、螺旋を見て座っているとき、きらきらと波がもうすぐつま先に届く
『消えた星図』

10/2/2025, 1:03:07 AM

蚊に食われた点々と繋いでも星座にもならない煙の中をゆっくりと雨の匂いが降ってくる
『秋の訪れ』

9/30/2025, 4:09:23 AM

腕を広げたとき、なにを考えているかわからなかったのは、距離が足りなかったのか、顔が見えなかったからなのか、朝が騒がしくやってくるときの光を胸に感じながら、飛び込むまでの数秒、気配、とか、温度、とか、まろむような時間をあなたは弾き飛ばしながら。
『モノクロ』

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