ゆうな

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10/4/2023, 12:16:33 PM

踊りませんか?



そう声をかけてきた君は緊張していたね。
顔を見たらすぐにわかったよ。
いつも先生先生と子犬のような君が、
隊服姿しか知らない君が、
タキシードなんて着ちゃってさ。

ふふ、失礼。
今のは別に似合ってないとかそういうのじゃないよ。
うん。そうだね。踊ろうか。

10/4/2023, 12:53:00 AM

巡り会えたら





運命だとか言われても、そんなもの信じていない。
運ってなんだよ。
自分の意志や行動とは関係ないじゃないか。
全て天任せ。偶然の産物。奇跡。
そんな突然降ってわいたモノに価値なんてあるものか。

巡り会いたい。これは私の意思だ。
だから。
巡り会えた時、それを運命だなんて言わせない。
必然だ。

10/1/2023, 10:36:25 AM

たそがれ




少し肌寒くなってきたな。と男は身をすくめた。
空を仰げば赤と青が混ざったような空の色。世の人々は美しいというが男はこの色を綺麗とは思えなかった。何故なら、この時間帯が嫌いだからだ。ろくなことがあった試しがない。

遠くで名前を呼ばれた気がした

振り向けば誰かがこちらに手を振っている。
誰だ?
男は目を細めて顔を確認しようとする。
その黒は変わらず手を振っているだけだ。

ああ、ほら、また、名前を呼ばれた。

8/12/2023, 4:33:22 AM

麦わら帽子



立ち竦む自分の周りにあるのは、呆れるほどに青い空と、蠢く白い雲。笑う草木。
夏なんて嫌いだ。
暑いだけで、何も良いことなんかないじゃないか。

「どうしたの?」
そう言って覗き込んでくる君の麦わら帽子が日影をつくる。
「夏は嫌いだ…」
顔を歪めてそう呟けば、君はくすくすと笑う。

なにがおかしい?
更に不機嫌に歪んだ私の眉間を君はこづくんだ。いつも。

「でも私は君と会える夏が好きだよ?」

太陽を背にしているから、君の表情はわからない。
けれど、その麦わら帽子は毎年変わらずに、そう言っていたね。

8/5/2023, 11:32:51 PM

『鐘の音』

鐘の音が聞こえる。
これは、なんだっけ…
昔、子供の頃に、聞いたことがある気がする…

なんだっけ…

誓ったとき?
祈るとき?
年の瀬?

いつ、聞いた。
どこで、聞いた。
なぜ、聞いた。



……これは 何の鐘の音だ 

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