必ず起きてしまうこと
起こると悲しいこと
それでも消えないこと
せめて手の届く範囲では起こさせたくなくて、いつも考える。けれど一人の人間にできることには限界があって、この手の届く距離は狭くて、気づいたら疲れ果てて、擦れ切れているんだ。
それでも、また手を伸ばす俺は……
どうしようもない、寂しがりやなんだろうな。
2024/10/19_すれ違い
表があって裏がある
表が通常で、裏が異常だと、みんな思ってる。
表に蓋したものが裏だから。
表は表すものだから、それが大多数だから。
でも、本質を他人に見せたいと思わない我々からすれば、裏が本質なんだ。
ああ、でも、多数の中に少数で潜むのは疲れる。疲れるから、そろそろ裏返しても、良いだろうか?
2024/08/23_裏返し
巫女様、巫女様。そう皆が呼ぶ。
それは正しくこの身を示す言葉であった。
話しかけてもらえる。それはとても嬉しい。
けれど、時々、そう時々だ。ふっと寂しくも感じていた。
なんて贅沢な悩みだろうか。
玉のように大切にされているという自覚を持つほどに、愛されている。愛されているのに。
足りないと思う私は、巫女失格だろうか。
特別
なんていらない
ただ 名前を呼んで
神様
愚かで小さなこの望みを叶えてはいただけないのでしょうか
2024/08/09_蝶よ花よ
目覚ましの音もなく、自然に目が覚めた時。
そういう時はだいたい晴れの日だ。
小鳥の声が聞こえてきたりして、落ち着く。
あったかいな
そう思って、そのまま目を閉じるんだ。
まだ、寝ていてもいいだろう?
それに答えるかのように、朝日が身体を温めてくれる。
2024/06/10_朝日の温もり
また、一日が終わった。
寒いな。
この家は寒い。
一人で居る事にはまだ慣れていないんだ。
それに……
嗚呼、眠りたくない。
しかし、身体は疲れているのか瞼が重くなる。
眠るのなら
寝てしまうのならば
どうか
お願いします どうか
あの夢を見せないでください
辛いんだ
目覚めた時の孤独が
もしそれが叶わぬのなら
嗚呼、月神よ。
私を貴方様の側へと召してください。
2024/05/27_月に願いを