音の夢

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7/11/2025, 9:39:50 AM

目を覚ます。外の様子を見るともう直ぐにでも土砂降りの雨が降りそうな曇天だった。そんな外を片隅に、顔を洗い外出の仕度をする。今日は酷い雨が降ってきそうだから、多少濡れても大丈夫な様に少し丈の短いズボンを。持っていくカバンの中に手帳と財布とICカードと趣味の本を。こんなに天気が悪い日は、作業なんてする気になれないから。今日はのんびり過ごす日にしよう。そう思いながら、雨用の靴を履き、お気に入りの傘を持って玄関の扉を開ける。
さて、今日は何処に行こうか。



目を覚ます。外の様子を見ると雲ひとつない快晴。太陽の光がとても眩い。暑くなりそうだという思考を片隅に顔を洗い外出の仕度をする。今日は日差しが強いからなるべく日焼けしないように長袖で、涼しいものを。持っていくカバンの中にはいつもの手帳と財布とICカード、趣味の本に作業するものを。こんなに天気がいいのだから、気楽な気分でやりたいものを決めよう。今日はきっと忙しくなる。そう思いながらお気に入りの靴を履き、日除けの帽子をかぶって玄関の扉を開ける。
さあ、今日は何処で何をしようか。



こうして私は毎日旅に出るのだった。
知っているところから、知らないところまで。
『冒険』

6/26/2025, 12:09:43 PM

最後に聞こえた君の声は、酷く悲しそうで、少し申し訳ないなぁと思った。
やめてくれよ、君にそんな声を出されると僕が悪いみたいじゃないか。誰も悪くないのに。強いて言うなら何も言わなかった僕が悪いんだけど。ただ君と一緒にいる時に話す機会を失くしてしまっただけなんだけど、ね。君と一緒にいると楽しくて、そんな事忘れていたかったんだ。このままずっと、なんてそんなこと考えてたんだ。出来ないっていうのは僕が一番解っているし、この日が近付けば近付く程どうしようもなくそうなって欲しいと思っていたのも僕だ。


…そうか。
僕は、僕も、こうなるのは嫌だったんだ。


たとえ君の最後の言葉を忘れたとしても、
君の最後のあの声は、
僕の頭にこびり付いて決して忘れることはないだろう。
『最後の声』

6/19/2025, 10:33:30 AM

雨上がりはいつも不思議な匂いがする。水蒸気のような、湿気のような香り。雨が上がった暫くの間、虹と共にその匂いは僕たちのそばを通り過ぎていく。建物の中にいて雨に気付かなかったとしても匂いが、濡れた地面が通り雨の存在を教えてくれる。
外で降ってきた雨はあんなにも憂鬱になるのに、窓から見た雨は不思議と落ち着いて、さすがに豪雨なら学校が休みになるかワクワクする。
雨の香りは雨が降ったあとじゃないと分からないけれど、ふとしたときに何気なく気になってしまう僕はこの匂いが好きなのだろうか。
『雨の香り(、涙の跡)』

12/23/2024, 8:48:44 AM

ふらりとスキーに出かけた帰り。
近くに温泉があるらしいので汗を流すことにした。
お金を払い入った温泉は、外にも中にも様々な湯船があって壮大だった。
楽しむついでに回っていると、「季節の温泉」という札がかかった湯船があった。お湯にはたくさんのゆずが入ったネットがいくつも浮かんでいる。辺りにはゆずの香りが温泉の香りにほんのりと混ざっている。そういえば冬場のこの時期はゆず風呂が有名だった。
ゆず風呂に浸かりながらネットを少しだけいじる。いい香りで返してくれるこのゆず達は、明日もお湯に浸かって香りを辺りに添えるのだろう。
『ゆずの香り』

12/16/2024, 8:49:07 AM

初めて見たその景色は、とても綺麗だった。
光り輝くダイヤモンドダスト、眼下に広がる樹氷の群れ。
そんな景色を一目見た瞬間、心を奪われた。
何度も来たい、行ってあの景色を再び見たい。
__そんな思考をずっと片隅にもつようになった。
ただ、季節の特徴は少しずつ消えていってしまった。
あの場所ではもう、二度とあの美しい景色を見ることは叶わないのだと。頭では理解していても、心が、体がそれを拒否し続ける。


もう、あの場所では雪は降らなくなってしまった。
それでも、またあの美しい奇跡を。
いや、もう劣っていてもいい。雪をこの地に降らせてくれ。
今日もまだ、あの場所で待ち続ける。
音もなく降る、美しいキセキを夢見て。
『雪を待つ』

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