音の夢

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初めて見たその景色は、とても綺麗だった。
光り輝くダイヤモンドダスト、眼下に広がる樹氷の群れ。
そんな景色を一目見た瞬間、心を奪われた。
何度も来たい、行ってあの景色を再び見たい。
__そんな思考をずっと片隅にもつようになった。
ただ、季節の特徴は少しずつ消えていってしまった。
あの場所ではもう、二度とあの美しい景色を見ることは叶わないのだと。頭では理解していても、心が、体がそれを拒否し続ける。


もう、あの場所では雪は降らなくなってしまった。
それでも、またあの美しい奇跡を。
いや、もう劣っていてもいい。雪をこの地に降らせてくれ。
今日もまだ、あの場所で待ち続ける。
音もなく降る、美しいキセキを夢見て。
『雪を待つ』

12/16/2024, 8:49:07 AM