音の夢

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最後に聞こえた君の声は、酷く悲しそうで、少し申し訳ないなぁと思った。
やめてくれよ、君にそんな声を出されると僕が悪いみたいじゃないか。誰も悪くないのに。強いて言うなら何も言わなかった僕が悪いんだけど。ただ君と一緒にいる時に話す機会を失くしてしまっただけなんだけど、ね。君と一緒にいると楽しくて、そんな事忘れていたかったんだ。このままずっと、なんてそんなこと考えてたんだ。出来ないっていうのは僕が一番解っているし、この日が近付けば近付く程どうしようもなくそうなって欲しいと思っていたのも僕だ。


…そうか。
僕は、僕も、こうなるのは嫌だったんだ。


たとえ君の最後の言葉を忘れたとしても、
君の最後のあの声は、
僕の頭にこびり付いて決して忘れることはないだろう。
『最後の声』

6/26/2025, 12:09:43 PM