僕の部屋は、明け方近くになってようやく静寂に包まれる
だけどその頃には目が覚めてしまって、もう二度と眠れないのだ
地球上に一人ぼっちになってしまったような気分で、僕はベッドから起き上がる
この孤独から誰かが救い出してくれたらどんなにいいだろう
別れ際に、少し首をかしげて手を振る君の姿が大好きだったよ
いつもかわいい笑顔を胸に家まで帰ったものさ
もうあの姿が見られないなんて
もう二度と君に会えないなんて、今もまだ信じられない
夢なら覚めてほしいと思うけれど、そんなはずがないことも痛いほどわかっている
君と仲良くなれてすごくうれしかったけど、それはほんの短い間のことだったね
とても悲しくて、僕は泣いた
だけどそれは通り雨みたいなもので、すぐに気持ちも晴れるはず
そう思っていたのに
あれから季節はいくつも過ぎたのに、今も僕の心には悲しみの雨が降り続けている
春は始まりの季節で何かと不安
夏は暑くて毎日ヘトヘト
冬は寒くて暖房費もかさむ
だから秋が一番いいんじゃない?
って思ってたけど
最近は、いつまでも暑くて夏が長いし、でも、ふと気づくとすっかり気温が下がってて、結局秋っていつ始まっていつ終わるのかよくわからないよ
僕はインコのピー太
元インコって言ったほうがいいかな
地上での命を終えて、今は天国にいるから
僕はヒナのときから飼い主さんに育てられたんだ
飼い主さんはとってもやさしくて、歌やおしゃべりを教えてくれたり、ケージから出して一緒に遊んでくれた
飼い主さんの部屋は3階にあったから、見晴らしがよくて、僕はいつも窓の外を眺めていた
家の屋根がいくつも続いていて、そのむこうには森があって、その上に空が広がっていた
飼い主さんはいつも「離れちゃいけないよ」って言っていたけど、僕の命は突然終わってしまった
苦しくはなかったよ
だけど気がついたら、僕は窓の外にいた
部屋の中で飼い主さんが泣いているのが見えた
そばに行こうとしたとき、不意に強い風が吹いて、僕はそのまま吹き上げられてここまで連れてこられた
本当は飼い主さんにちゃんとお別れをしたかった
それだけが心残りなんだ