かつての
いつの間にか
気づいてみれば
知らないところで知らないうちに
いいえ
知らないふりをしているうちに
変わる
揺らぐ
踏ん張る
アルマジロの背中
「哀愁をそそる」
どうぞ
笑わないで
いびつな顔で
現実を押し付けないで
それでも
あなたを愛さずにはいられないのだから
愚かにも
もがいていても
本当はあなたを愛しているのよ
女は鏡の中の自分を抱きしめた
大粒の涙が止まることはなかった
鴉がそれを見て笑うまでは
「鏡の中の自分」
欲しいのは君の声
欲しいのはぬくもり、熱
欲しいのは陽射しの中を駆けている足音
欲しいのは
欲しいのは
眠りにつく前に欲張りになってしまったのは
眠いせいだと笑う君
「眠りにつく前に」
永遠などない、と知っているという思いのままに
道理を知るすべがない、とわかっているままに
願望でもなく、諦めでもなく
つまらない、ありふれた考察
永遠はそこにあるものではなくて
今ここにあるもの
ああ自分は存在するのだと
万物との境界線はないのだと
立体的な自我や景色はまるで1枚の薄い絵画だと
そうしみじみと思えた時に
永遠はほんの少しだけ現れて微笑み
平穏を残し
あっという間に去っていく
私が望む限りそれは続き
いつでも手放すことができる
儚い時間をしみじみと感じた時
永遠はそうっと微笑んでいる
微笑み、私を包んでいる
「永遠に」
秋の庭は荒れていた。
大きく育つ前に抜かなければならなかった雑草の色は、すっかりと秋の色に変わっていた。
もうじき冬にもなろうとしているこの季節でも、花粉は飛び交い、命を繋ごうとしている。
それらは時に害になる。
結局のところ、しょせん愛なんて、関係のない他人には害にもなりうるのだ。
女は、ふうっ、とため息をついた。
懐かしく思うこと、それから、これからどんどん失っていくであろうこと。
考えれば考えるほど、ため息でもつかなければやっていけない。
若い時に戻ればどうにかなるわけではない。
けれども今とは違う選択ができるはず。
もう一度、ため息をついた。
とりあえず草をどうにかしないと。
そうしてその後、そこに眠るのもいいかもしれない。
私は種、私という名の。
植えても育つかは、わからないけれども。
「懐かしく思うこと」
懐かしく思うとき、寂しくなった
懐かしく思うとき、悲しくなった
懐かしく思うとき、微笑ましくなった
それは今、そう思えるからかもしれない