秋の庭は荒れていた。
大きく育つ前に抜かなければならなかった雑草の色は、すっかりと秋の色に変わっていた。
もうじき冬にもなろうとしているこの季節でも、花粉は飛び交い、命を繋ごうとしている。
それらは時に害になる。
結局のところ、しょせん愛なんて、関係のない他人には害にもなりうるのだ。
女は、ふうっ、とため息をついた。
懐かしく思うこと、それから、これからどんどん失っていくであろうこと。
考えれば考えるほど、ため息でもつかなければやっていけない。
若い時に戻ればどうにかなるわけではない。
けれども今とは違う選択ができるはず。
もう一度、ため息をついた。
とりあえず草をどうにかしないと。
そうしてその後、そこに眠るのもいいかもしれない。
私は種、私という名の。
植えても育つかは、わからないけれども。
「懐かしく思うこと」
懐かしく思うとき、寂しくなった
懐かしく思うとき、悲しくなった
懐かしく思うとき、微笑ましくなった
それは今、そう思えるからかもしれない
10/31/2023, 2:03:32 AM