あの日の温もり
「ほら、こっちにおいでよ!」
差し伸べられた小さな手。
僕は小さな手で握り返した。
あの日の君の笑顔。あの日の君の手の温もり。
忘れることはない。
「…大丈夫だよ。」
背中に乗せる大きな手。
不器用な僕だけど。決して立派ではない僕だけど。
僕も君のように。
cute!
例えばあなたの身近な大切な人。
大切で、守ってあげたいと思う。
なら、それは"cute"だ。
…周りの人はその人を醜いと言うかもしれない。
けど、自分にとっては"cute"!
ねぇ、"cute"ってなんだろう?
世界で"cute"って溢れてる。
でも"cute"があるだけで、
世界は少し明るくなる気がする。
ねぇ、"cute"って、愛だ。
君も、ほら。
きっと誰もが誰かの"cute"。
たまには自分を鏡で見て、
"cute"!って
認めてあげる日も
あってもいいんじゃない?
それだけで、明日はきっと笑えるような気がする。
『I'm cute!』
記録
記録#xxxx年x月3日実験体A
今日は比較的おとなしくしていたようだ。
食事も昨日と違って完食していた。
私には当たりがきついのは難点だ。
だが、この環境にも慣れてきたのだろうか?
記録の記録#xxxx年x月3日実験体A-a
今日も変わらず実験体Aの観察をしていた。
まだ自分が実験対象で観察されていることには
気づいていないようだ。
…また私も実験対象なのかもしれない。
…人間は愚かだ。
自分は上位の存在であると勘違いする。
命に上も下も実験体も観察者も
ないというのに。
命の価値は平等だ。
それを下げるのか上げるのかは君次第だ。
さぁ冒険だ
さぁ冒険だ。
僕らは世界を救う旅に出た。
帰ってきた時に君が笑顔でいられるように
僕らが世界を救うんだ。
さぁ冒険だ。
僕らは世界を救う旅を終えた。
帰るまでが冒険。
帰って君が笑顔で迎えてくれるのが楽しみだ。
僕らは世界を救ったんだ。
さぁ冒険だ。
僕らは老いた。
新たな世代の勇者たちを背後に、
帰ることのない冒険へ。
一輪の花
その花は、日の上る丘の上に咲く。
たった一輪、その丘に咲いていた。
光を浴びて、大きく、美しく咲き誇っていた。
まるで、1人で輝く君のようだった。
日は沈み、丘を闇が包む。
たった一輪、その花は枯れていた。
闇に包まれて、孤独にその顔は下を向いていた。
まるで、枯れてしまった君の命のようだった。
だからこそ、君の隣に一輪の白百合を。
まだ、枯れない白百合を。
僕もまた、いつかは一輪の花のように枯れていく。
全ては、枯れていく。
この世界も、まだ枯れない君も、全て。
また土に還るだけだ。
そしていつかまた咲き誇る。