すれ違う瞳
かつての親友、今の他人。
…私たちの関係を一言で表せば、
それが1番しっくり来るようだ。
君は覚えているのかな、
それとも忘れてしまったのかな。
朝日の中の神社も、青空の下のグラウンドも、
夕日が差す公園も、星が瞬く屋根の上も。
全部君との思い出。
全部全部、私の中には君との思い出が。
すれ違う交差点で。
君は私を素通りしてしまった。
気づかなかっただけか、忘れてしまったのか。
それは定かじゃない。
…でも、どこにいても君だと分かっていたあの頃。
君が僕を見つけて微笑んでくれた、
あの頃には戻れない。それだけが確かだ。
今日もまた、灰色の空。
瞳がすれ違う。だけ。
風と
風と共に舞う葉。
その中に僅か桜色。
たったそれだけの景色。
街灯に照らされて美しいと思った。
君は今どうしているだろうか。
風と共にキミの声が聞こえた気がして。
振り返ってみれどそこには誰もいない。
東には薄明かりがさしていた。
…ああ、朝だ。キミのいない朝だ。
やるせなさと寂しささえ、この風と共に。
好きになれない、嫌いになれない
「大丈夫?」
ああほらまた。
僕以外に向けられた君の微笑み。
それを僕だけに。
僕だけに向けていて欲しいと思うのは
いけないことだろうか。
誰にでも優しく分け隔てない君。
そんなところが大嫌い。好きになれない。
「⚫︎⚫︎、はやく!」
ああ。
僕に向けられた太陽。
それが僕だけに。
僕だけに向けられているのがどれだけ嬉しいことか。
僕にだけ向けてくれる特別な表情。
そんなところが狂おしいほど大好きで。
嫌いになんてなれやしない。
今日も僕は向日葵だ。
夜が明けた。
あの日眠りについた君。
満天の星。
それから僕は永い夜を過ごしたと思う。
全くもって情けないほどの永い永い夜を。
空でたとえ流星が光ろうと、
気づくことのないほどの夜を。
そして今日、突然現れた君。
雲ひとつない淡い青色の空。
「本当、変わらず寝坊助だな」
笑い飛ばそうとしたけど、
上手くできず、雨粒が地面の砂に解けていく。
それでも僕らの夜は明けることはない。
『おかえり』「ただいま」
笑い合う。
僕らに朝が来ないなら、僕が君の太陽になるから。
どんなに離れていても
朝日が迎える新たな世界。
君と僕は結ばれた。
朝日が、大地が、世界が。
僕たちを祝福しているようだった。
白いほど澄んだ世界が僕たちを見据えていた。
夕日が消し去る僕らの世界。
君と僕は引き裂かれた。
夕日が、赤く染まったアスファルトが。
僕たちを嘲笑ってた。
灰色に霞んだ世界、
僕らはそれでも。
逢えなくても。
どんなに、離れていても。
だから今だけ。さようなら。
どんなに離れていても変わることのない愛を君へ。